わたしたちはなぜ科学にだまされるのか

『わたしたちはなぜ科学にだまされるのか』読了。世の中にあふれかえる疑似科学をとりあげた本なので,タイトルが逆やろ!というツッコミを受けている模様。この手の本は,カール・セーガンの「科学と悪霊を語る」とか,マーティン・ガードナーの「奇妙な論理」とか,と学会の「トンデモ本の世界」とか,最近はなかなかの激戦区になっている。そんな中でも,これはエエ本ですな。

永久機関などのトンデモそのものより,それが世の中に広まってしまう仕組みを追及しているのが特徴。科学者からニュースキャスターに転進したおじさんが繰り返し糾弾されているのが笑える。笑えないのが,「反電磁波キャンペーン」の話ですね。電磁波は健康に悪影響があるというのは,きわめていいかげんな調査の結果(手法もいいかげんで,サンプルも少ない)にすぎないのが,メディアで大キャンペーンをはったアホがいて(もちろん儲けるため),アメリカ中が(結果日本でも)パニックになったという。その後科学的な調査が行われて,電磁波が有害とする根拠はほぼ無いという結論になっている。うーむ。もう1つ。著者は有人宇宙探査は金の無駄と断言していて,これも面白い。有人の宇宙探査で得られた画期的な知見は何一つ無いとのこと。逆にボイジャーのような無人宇宙船があげる成果はすばらしいものがある。ところが「有人」の方が国民受けがいいとの理由で,政治家が有人探査を推進したがる構造があるという。うーむ,なるほど。

"政治家が推進したがる科学"というのは興味深いジャンルで,今後もウォッチしたいところです。
2001年07月23日(月)

ま2の本日記 / ま2