それは、ある朝の出来事だった。

いつものように目覚めて、いつものように寝ぼけた状態で

ボーっとしていた。

そんな中、ふと食卓を見てみた。何気なく、本当に何気なく食卓を見てみた。

すると、見慣れないものが見える。

よくよく見てみると、どうやらそれは

歯磨き粉

のようだ。

いつもと違うものが目線に入ってきて、かなり動揺してしまった。

落ち着け、俺。そこにあるわけがないんだ。もう一度良く見てみよう。

ちょっとボーとしていたからだ。最近、ちょっと疲れていたからな。

きっとそのせいだ。そこに歯磨き粉があるわけがない。

バターか何かと見まちがえたんだ。そうに決まっている。

などと、自分を落ち着かせながら、もう一度食卓を見てみた。

・・・そこには、紛れも無く

「PCクリニカ」

と書かれた物体が存在していた。

ふっ素配合のにくいやつ。ふっ素の力で、俺の歯を守っている。

青い色がまぶしいPCクリニカ、ずっと使っている俺の相棒・・・

などと言っている場合ではない。

これ以上、自分をだますことはできない。バターではなかった、

それは間違いなく、いつも使っている歯磨き粉だった。

と言うか、だいたい、バターなんか買ったこと無いのに、

それがバターだと思い込もうとしていた時点で、

自分に負けていた。

完敗である。

などと言っている場合ではない。

原因を探らなくては、何でそんなところに歯磨き粉が？

昨日酔っていたか？・・・酔ってはいなかった。

・・・・・・・これ以上、理由が思いつかない。

俺の人生はこんなに選択肢が狭いのか？

と逆に取り乱してしまった。

くそ、おまえがそんな所にいなければ、こんなに苦しまないのに。

などと、迷っているうちに、もう会社に行く時間だ。

うやむやのまま、会社に向かった。

現在、原因調査中、わかり次第報告します。