想
目次|過去|未来
桜。菜の花。紋白蝶。
うちのマンションの裏には、なぜか畑がある。 畑の真ん中にマンションがあるのではなく、 町の真ん中に唐突に畑があるわけだが、 その畑に、菜の花が咲いていた。 満開の菜の花は、たいした面積ではないものの、 十分に自己主張しながら咲いていた。
屈託のない黄色の鮮やかさと、その独特の香りが、春を強く意識させる。 下を向いているものにも、後ろを向いているものにも、春はやってくる。 当然、あるいは普遍という名の安心感。
ちょうどよい背丈に伸びた黄色い花の間をひらひらと白い羽が飛び交い、 背景には花色の淡い桜の大木。 古典的な春の風景がとても心地よい場所に、いつでも、自分はいられるのだ。春、夏、秋、冬。人も草も、同じことだ。
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