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それは殺意だった。 喉を潰し、切り離してもなお、 残ったもの。 揺らぎや激情ではなく。 静かに独立した絶望の果てに あったもの。 だから、全く、救いはなかった。 どのようにすれば、最も簡単に行えるかを 昏く紅く考えている頭があった。 抑止の涙がこぼれてもなお、 残ったもの。 決意というならば、あまりに軽く、 同時にあまりに重いだろう。 いかなるときでも、認識は残酷だ。 それが真実かどうかさえ、もはや問題ではなかった。 僕は残酷だ。 頸動脈めがけて刃物を突き立て、勢いよく血を浴びたとしても 目を開けたままそれを受け容れるだろう。 |
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朔月
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