ゴリさんの職場の話をとぅとぅと聞いていた。 その状況では確かに、愚痴のひとつやふたつ出てきてもおかしくないのだが。 奴自身、あまりそういった類の話をしない。 ので、自分から話すのはとても珍しいのだが。
年内一杯様子を見て、転職を考えていると言うゴリさん。 それは正解じゃないかな、と返すシイナさん。
お互い、いろんな意味でまだ若いのだと思う。
シイナとの事、中途半端でゴメンな。
不意に謝られた。
奴のいう中途半端は。ワタシとの将来について、ということらしい。 謝ることでも無いと思うのだけれども。
第一、このままずっと一緒にいるなんてわからんし。
確かに年齢的には、結婚を考えてもおかしくない、らしい。 だけど、其れだけを考えて、あせったり急いでも、いい結果なんて生まれない。 正直に言えば、今の状況で一緒にはなりたくない。 ずっとだぜ、一生顔を付きあわしていくかもしれないんだぜ。 もうすこし、お互い理解し合おうと言ったのは、ゴリさん、アナタだ。
正直、シイナの存在はでかい。居てくれてよかったと思ってる。ありがとう。
それだけで、ワタシは普通に頑張れる。
けれども。
こっち(東京)に来て、友達おらんし。 出向先で仕事をしている以上、いくら仲良くなっても、 相手は仕事を俺に依頼するお客さんやからな。 俺1人だったら、(職場のこと)耐えられんかった。
と続けるから、私は一気に寒気がはしってくる。
其れはつまり、東京に来るではなく、大阪に居たら、 今のように私を必要とはしない、と頭が勝手に変換するから。 そして、それを否定できないから。
君との付き合いにおいて、喜びと不安は表裏一体だ。
友達が居ないから、あたしの存在価値が上がる、 それだけが理由だとしたら、ドンビキだな。
いつものような元気がなくなってるゴリさんに。
人間、疲れたら、人を気遣う余裕がなくなってしまう、 そんな時だってあるんだって解りつつも。
優しい言葉のひとつもかけられないアタシもまだまだ子供だ。
いや、俺もな、正直に言うと、最初は、戸惑った。
シイナの存在が大きいことに、戸惑った。
シイナ以外、気を許せる奴が居ないからだけじゃないか?とも思った。
でもそれだけじゃない、と、思う
俺が関西に居ても、やっぱり、好きになったと思う。
「シイナ」と付き合えてよかった。と思う。
ラジオで前にいってたやん。
アナタが一番幸せに思うときはいつですか?ってな。
俺は、照れくさいから。あの時は違うこと言ったけどな。
シイナと居るときが一番幸せやよ。
・・・・だったらイイよ。
ほかに何か言いようがあるだろうと、心の中で突っ込む。 嬉しいという感情をもっと素直に言葉に出せたらと ワタシは常に思っている、けれど、 口をついて出てくるのは、そっけないヒトコトだったりする。
だんだんと理解してきてはいるんだ。 最初は単なるスケベ野郎だと思っていた情事も。 アタシと言う人間を大好きでいてくれているから、 何回も何回もしたくなる。
当たり前のように、人は感情があるから、コトに至る。 そういえば、元彼も、旦那も似たようなことを言っていた、 でも、単にsexが好きを誤魔化して正当化しているだけだと それくらいにしか考えていなかった。
何故だろう、ゴリさんのことは素直に受け取れている。 実はおれはあまりそっちは淡白なほうだった、という言い草を、 最近、少し信じるようになってきた。 絶対嘘だと思うときもあるけどね、そりゃ(笑
変化、が少しづつ、おきてきているんだ。
感情があるから、動くさまざまなこと、 ゴリさんはゴリさんなりに、 精一杯、感情表現をワタシにしてくれていること。 初めてのことでも、戸惑いながらも、 一生懸命考えていること、
ちゃんと解ってるよ。
俺はシイナに甘えてばかりだけれども。 実際、シイナは俺の何処が好きなの?
唐突にそう言う質問をしないで欲しいと思いつつ。
|
|