ラスベク変換
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作業服姿の男が二人、なにやら団地内を徘徊している。 見た感じ怪しそうではないが、このご時世、見た目では判断できない。 ちょっと探りを入れてみる事にした。
何食わぬ顔で廊下にポカンと立つ俺。 程なくして作業服Aが近づいてきた。 「あ、こんにちは。いまから火災報知器の点検をさせて頂きますのでぇ」 なんだ火災報知器か。 そういえば回覧板でそんな知らせが回ってきてたな?たぶん? でも、そんな作業員を騙っての窃盗団てこともある。用心、用心。 なんて考えていたら早速、俺の家から点検が始まった。 「キュインキュイン」(作業員Aの手に握られた機械の音) ん?火災報知器の穴に何か差し込んだぞ。 むむむ、この穴から俺の家の機密情報を(そんなのあるのかな?)盗もうって魂胆か? ややや、そんな俺の心理を察知したのか作業員Aの態度がぎこちないぞ。 やはりこれは作業員を装った犯罪者っぽいぞ。 ほら、やっぱり態度が変だ。 しかし、次の局面に俺はわが耳を疑った。 「火事です、火事です、避難してください、火事です、火事です、避難してください」 え?なに?あんた(作業員A)が喋ってんの?と思った俺。 だから態度が変だったの?と思った俺。 でも、そうではなかった。 なんとこの団地に付いている火災報知器は「喋る」のです。 しかも、「カジデス、カジデス、ヒナンシテクダサイ」みたいな機械音じゃなく、落ち着きのある江守徹のような声で。 いやはや恐れ入りました。 今の火災報知器ってどこでもこうなの?
2003.9.25記
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