とある定食屋で飯を食っているとき、店内のテレビで ニュースが流れていた。
県内で偽札が見つかった。タクシーの支払いの際に使用された 一万円札が、偽造されたものだったらしい。 犯人は750円の支払いの際に一万円で支払ったとのこと。
おれはカウンターの席で食べていたのだが、 おれのとなりに座っていた人(知らない人)が、店の人に話しかけていた。
人「いやー、たった750円の支払いで万札使ったらちょっと怪しいですよねー。」
店主「そうやねー。」
大きいお札だけしか持ってない乗客もたまにはいるので、小額の買い物に 使われた一万円札を怪しむ、というのはちょっと乱暴ではないかなー。 まあでもどうでもいいか、帰ろう。と思った時ふと気づいた。
今の財布の中身状態は、たしか千円札が無かったはず。 一万円が一枚だけ入っている状態なのだ。そして小銭は先ほどあった 510円で缶コーヒーを買ったので、残りは100円玉四枚である。
定食は420円である。ヤバい、このままでは一万円で支払わなくてはならない。
まあ、この一万円札が偽札なわけはないし、店主であるおばちゃんも これが偽札だと疑うわけもないのだが、あの隣のアンチクショウが さっきあんなこと言ったばかりなので、今ここでおれが420円の代金を 支払うのに、一万円札を出したらなんか気まずい感じではないだろうか。
それともおれが「いやー偽札じゃないですよ、あはは・・・」などどいう 寒いコメントを付け足して支払わないといけないのか。
それはイヤだ、と思ってポケットをさぐると、硬貨が一枚あった。 しかもこの触感は・・・百円玉っぽい!これでこの状況を打破できる!!
・・・・スロットのコインでした。
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