昨日からの徹夜明け。 久しぶりに、以前付き合っていた子について思い出し、考えていた。 俺はこの世における縁、人間と人間を結ぶ糸のようなものを感じる事がたまにある。 あの子と親しくなり始めた当初、あの子は俺に「自分は数年前に男に拉致されて、襲われた」という事を告げた。 俺にとって、そういう子が襲われる、という事はこの世で何より耐えられない事。 どこまでされたのか、どれだけの事をされたのか、そういった度合いに関係なく、俺はそういう目に遭わされた子を恋愛対象として受け入れられない。 俺はその子にそれを告げ、その子は俺の前から姿を消した。 しかしそれからの数年間、それでもまだどこかで漠然と俺はその子との繋がり、糸のようなものを感じ続けていたと思う。 「それさえなければ、それさえなければ」とずっと未練が残ってたので、そうした意識、依存心によってどこかでまだ縁があるように感じていたのかもしれないな。 相手は自分を好きで居てくれているのに受け入れられない、という悔しさも凄まじかったし。 そして数年後、その子は再び俺の前に現れた。 そして、「母親に聞かされたけど、自分はその時麻薬を打たれて混乱していただけだった、という事が判った。聞かされるまで、自分は麻薬を打たれた事さえ今の今になるまで知らなかった。本当はその男からは何もされていないらしい」という事を告げてきた。 俺がその子を受け入れられない理由はなくなった。 そして、その子と付き合い始める事に相成った。 しかし、しばらくしてあっさりフラれ、その子は再び俺の前から姿を消した。 それから今で2年半くらいになるだろうか。 それまで感じていたその子と自分を結ぶ縁の糸。 その糸がプッツリ切れて、もはや何の気配も感じられなくなってしまった。 「好きだと言ってくれているのに、外部の汚い奴の為に受け入れられない」 そういった未練や悔しさ、やりきれなさを「実際はそんな目には遭わされていなかった」という事を知る事で断ち切る事が出来たからだろうか。 「今までと違って、向こうが関わりたくないって言ってるんだから仕方がない」と折り合いを付けられたからだろうか。 自分が相手に向ける念、相手が自分に向ける念、その両方が消滅してしまったからだろうか。 自分の人生、運命、因果の枠の中からその子の気配が完全に消滅したのを実感する。 現在午前7時07分。
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