囁き
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なんと言えばいいのかわからんが・・・少なくとも、彼女はわからなかったみたいだ。ふむ・・・
たとえば、自分の手のひらで自分の顔を触ってる瞬間。たとえば、しばらく目を閉じて、目を開いた瞬間。自らの声を聴いている瞬間。周囲の音やにおいを感じてる瞬間。ふと、嘘くさい気がする。 これじゃない、というか・・・はっきりとはいえないが、違和感に似たようなものがある。いらつくほど、自らの中に、それを指し示す言葉がない。 『ここじゃない』『どこかに行かなければならない』。そんな気持ちも、まぁ、近いのかもしれない。存在すべてが夢という言葉に、つながるのかも知れないね。まぁ、世界がここまで続き、この世界を構築しているものすべてがいる時点で、考えられないほどの確率・・・それこそ、奇跡に近いものだとは思うんだが・・・
なんかね、気持ち悪い。なんだろう。はっきりしなくて。
『夢の島』 『 ざわめきの中、二人の男が俯きながら法廷へと入ってくる。
傍聴人の怒号。罵声。それを止める裁判官。この男達の罪は、それほどにまで大きいものなのだろうか?しかし、一人の目に怯えはない。己の無罪を確信しているからだろうか。もう一人の目には、しっかりと怯えと、後悔の色があるというのに。 彼等の罪が読み上げられる。そう。罪人と呼ぶに相応しいもの。傍聴人の何人かの目に涙が浮かぶ。はたして被害者か、彼等に関係があるものなのか。弁護と告発。次々と裁判というタイトルの劇が続いていく。どうやら彼等は共犯者ではないらしい。ならば何故、同じ場に立っているのか。そして、裁判長の口が開かれる。
死刑。
しかし、聴衆からは不満の声が漏れる。ならば終身刑で、永久にその身を暗闇の中へと置くか?否。裁判長が静かにするように命ずるが、その声は大きくなれど、小さくなることはない。怯えのない男が、大きな声で笑い出す。どうなってもかまわないと。拷問か?苦しみを与えつづけるか?男の笑いが大きくなる。
手緩い。
聴衆の誰かの叫びに、一同が静まり返る。怯えと後悔を持つ男が卒倒し、横に連れ添っていた警備員に助け起こされる。その場には、その音しかなかった。誰も、その先を口にするようなことはできなかった。何故?空間を支配するのは、圧倒的な恐怖と怯え。笑っていた男の目にすら、恐怖が伺える。
死刑よりも、さらに上を望むと?
裁判官の声に、怯えながらも聴衆は頷く。はじめて男の・・・死刑にすら怯えなかった男の・・・表情が完全に歪む。逃げ出そうとして、取り押さえられる。その無様な姿を見て、聴衆の目にわずかな正気が戻る。正気?いや・・・
死刑よりも更なる罪を・・・
誰かが呟く。そして、その波紋は広がっていく。さらに強く。さらに大きく。更なる罪を。更なる罪を!更なる罪を!!
最後にその場を支配したのは、哀しみと怒りと憎しみを混ぜ合わせた、狂気。
ならばそうしよう。裁判官が口を開いた。彼等はそれに相応しい罪ゆえ、死刑よりもさらに大きな罪を背負ってもらおう。かの地で生きていくのだ!そう、裁判官が言い終わると同時に、聴衆の喜びの声と、怯えきった罪人が二人。彼等が警備兵に連れられ、その場から消え去っても、その声はなくなることがなかった。いったい何人目・・・いや、もう数える気にもなれないほどの人数なのだろう。この罪の制度ができてから、この罪を与えられたものは。
そして彼等は地球という星に、新たに生を得た。』
近いけど、違うんだよな・・・
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