囁き
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2003年05月14日(水) 創作途中の一部

『酷く虚しくなる瞬間がある。べつに、だからといってなんというわけではない。
 時に、自分の心に酷く驚くことがある。全くの他人でもないが、それほど親しくもない女性が誰かと付き合ったなどという話を聞いたときに浮かぶ感情がそうだ。所詮顔見知り・・・いや、それよりも離れているかもしれないのに、僅かにでも嫉妬に近い感情が浮かぶ。自分だけではなく、男は(そして、もしかしたら女も)世に存在するすべての異性とは言わないが、比較的側にいるすべての異性を自分のものとしたいと考えているのだろう。それは獣の時代の僅かに残った本能のようなものなのかもしれない。そして、手中に収められることがないことをわかってるからこそ、この嫉妬に近い気持ちを抱くのだろう。それを嫉妬と呼んではいけない。何故ならそれは嫉妬ではないし、たとえば嫉妬とするならば、人間というものをさらにおとしめるものに他ならないからだ。
 ふと頭に浮かぶそんな言葉を振り切り、彼は笑う。多分、理由もなく、ただ少しだけ精神的に落ち込んでいるだけ。特別何があったわけでもない・・・そう。誰かが死んだり、重い相談をしたわけでもない。純粋に、リプレイボタンを押しただけのような毎日の繰り返し・・・だからこそ、理由を探してしまう。僅かに振る雨足が次第に強まり、鞄の中の折り畳み傘を開くかどうか迷ってしまう。このまま雨に濡れたい気持ちもなくはなかったが、それでは服を駄目にしてしまうし(しかし、彼はそれを禁忌とは全く考えていなかった)、家に帰れば家族がいる。心配をかけてしまうだろう。それを望む気はなかった。
 しかし、こういうときだからこそ無駄にあふれてくる言葉が、彼は好きだった。思考に任せて様々な言葉・・・主に人間について・・・を読み取り、ただ帰るだけの、街の音しかない時間を潰していた。
 しかし、この溢れる言葉を誰かにぶつけようとは思わなかった。たとえぶつけたとしても何も変わることはないだろうし、何より、別に誰かにぶつけたいとも願わない。吐き出したところで、納得されることを望んでいるわけでもなければ、答えを必要としているわけでもなかった。ただ、なぜか僅かに流せそうな涙が、別にこらえる気もないのに流れてくれないことがなんだか少しだけ悲しく、寂しかった。ここに誰かがいたら・・・泣けるかもしれないし、逆に泣けないかもしれない。取り繕い、演技をしてでも心配をかけない自分と、弱く、誰かにすがってしまう自分のどちらが勝つかの勝負。けれど、別にそんなことをする気もない。どちらが勝とうか、大して興味もない。ただ、誰かを求めている自分はいる。こんなときなのに・・・いや、こんなときだからこそ?ほんの小さくだが、劣情に火が灯っているのを、彼は自覚していた。だからといって、何だというのか?別に相手はいないし、買う金もない。心から欲しているのかと尋ねれば、違うのかもしれないと思う。ふとポケットの中の携帯電話に意識をやり、しばらく迷った末にその電源を切る。今は、一人でいたい気分・・・しかし、それをまたすぐに入れた。一人で痛いが、緊急の連絡もあるかもしれない。半分以上は言い分けだが、全てではない。独りになりたい気持ちもまた、確かに彼の中にあったからだ。』


『しかし、人間の存在とは何故にこうも不安定なのだろう?こう言うときには神を信じたくなる。大体、居間までの辿って来た道を眺めてみれば、どれだけ運のいいことだというのだろう。まるでサイコロの六を何度も出し続けたかのように。そして、こうなった。そして、こんな人間も出来た。あんな人間達も出来た。
 それを、偶然だと考えたくないだけさ。かみのように力を持った第三者によって動かされてきた方が、少しでも罪悪感は減るだろう?何故・・・何故、僕達は数万年もの間、生き続け、ここまで至った?』


 こんなことを考える日もあるさ。試作段階というか・・・ただ思い出しては書き思い出しては書き・・・それを繰り返して、後は設定を考えて捨てるか、繋いでいるだけ。これが、今日の分。二つ書けた。


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