〜「ずっと好きでいいですか」のあややで妄想〜
「はぁ…今日から教育実習だ… いつもはナチュラルメイクでも可愛い〜いあたしだけど、ここはしっかり大人メイクで生徒達と先生方にご挨拶しなきゃ!あぁ、でも初日から張り切り過ぎって印象良くないかな、やっぱりナチュラル?てゆーか、そもそも大人メイクってどうすればいいの!? きゃーっ!」どっちが好きなの?って言ってる場合じゃないよ、そろそろ本気でしたくしなきゃいけないのにー!
…迷ったあげく、必死の大人メイクをしてみたんだけど… なんかあたし、若い頃のママにそっくりになっちゃってない?ちょっとヤンキーちっくじゃない?あ、でもこの方が生徒達にオトナな印象与えられていいかも…
職員室に入る。誰もいない。準備に時間かかったけど、余裕持って来て良かった…。でもちょっと早すぎかな?あ、窓の近くの席に誰か座ってる。髪の長い、女の人。顔は見えないけど綺麗な髪だなぁ。「あのー。おはようございます!今日から教育実習に来た松浦亜弥です。…ちょっと早すぎちゃったみたいなんですけど。にゃははっ」「あ、うん」
…え?「あ、うん」って、それだけ?しかもこの人、顔上げない。もーっ!失礼な人!
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(中略) ←職員室での他の先生方・実習生との出会いが省略されています。あと、担当は音楽です。
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「今日からみなさんの音楽を受け持たせて頂く、松浦亜弥です。よろしくお願いしますっ」
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(中略) ←生徒が真面目に授業を受けてくれません。歌の授業で声が出ていなくて「みなさん、もうちょっと声出ますかー」とか行ってもにやりにやりと笑われてしまいます。仕方なく楽しそうじゃなく歌うみんなに教え続けます。 「歌は… 歌はもっと楽しいものなのに…」 授業が終わった後、年配の音楽の先生から「まあ、初回はあんなものよ よくやっていたと思うわ」と励まされます。
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初めての授業が終わった。…うぅ。思ってたのと違うとは聞いてたけど、なんかがっかりしちゃったな… あたし、あの子達に歌の楽しさを伝える事ってできるのかな…。ヤバい、涙出そう。でも、音楽準備室なんて誰も入ってこないだろうし、ひとりだし。ちょっとならいいかな… ぐすぐす。一度泣いたら止まらなくなった。やばい…ティッシュ持ってない… ハンカチは職員室… うわーん!
ガチャッ「松浦さーん」…え?え?えーー!?なんで入ってくるの!?なんでなんでどうしてー!…あ、朝の感じ悪い人だ…でもこうやって見ると綺麗な人ー、って見とれてる場合じゃないよ!何なのこの人!どうして入って来ちゃうの!?
「ちょ ちょっと あのっ」「ぶっ… あははははははーーー!!」…笑われた。笑われたー!「し、失礼じゃないですか!急に笑うなんて!」「くく… だってあんた、化粧取れまくってるよ… あはははははははー!」うわっ…!そうだったー!
思わず顔をかくしてうずくまる。「あはは、ごめんごめん笑って。先生が様子見てきてやれ、っていうからさ。年も近いし、ってことで来たんだ。突然ごめんね。あたし、後藤。体育の講師やってるの。」「そうなんですか…」理由とかわかったけど、こんなんじゃ顔上げられないよ… あれ?顔の前に良い匂い。ちょっとだけ見てみると、ハンカチだった。「これ、使いなよ」「悪いからいいですっ」「いーから。そんな顔じゃ廊下出られないでしょ?」「はい…」
この人、悪い人じゃないみたい。すこし安心。
「わかんないことあったら、何でも… とは言わないけど、まあ一応聞いてきてよ。頼りないけどね」
「いえ… そんなことないです。ありがとうございます。 ところで… まだわたしの顔、ひどいですか?」勇気を出して顔を上げてみた。
「ぶぶっ あははははははー!」ああ…顔見て笑われるなんて… ショック…!
「もういいから、メイク落とし貸してあげるよ。もう授業は無いんでしょ?他に用事は?」
「授業の反省があるけど、ちょっとだけなら」
「じゃあ、運動部の更衣室で顔洗えばいいよ」
「でもっ、メイク道具とか持ってないし…」
「貸してあげるから」
「…ほんとですか?」
「でも、今日の朝みたいな気合いバリバリのメイクができるようなセットじゃないよ?」
うわー バレてる!めちゃめちゃがんばったメイクってバレてる!
「…変でした?」
「やー、昔のヤンキーみたいだなって思ってさ」
…あああああああ。
「あんた、素顔の方が可愛いんじゃない?変に肩肘張るより、生徒と同じ目線で話した方が伝わると思うけどな」
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(後略)
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怖めだったごっちんの印象が変わって亜弥ちゃんとごっちんが仲良くなる、という妄想が好きです。パターンを変えながら延々続けます。