同僚に、「一緒に晩ご飯を食べよう」と誘われた。特に断る理由もなかったのでＯＫした。

　……どうやら、わしに愚痴を聞いて欲しかったらしい。

「新瀬さんて口が堅いからぁ」
　と、社内の人間関係についての、あれやらこれやらそれやらを色々としゃべってくれた。

　しかしね。申し訳ないが、わし、口が堅い訳じゃあないんだよ。

　単に、「どろどろした人間関係」が嫌いで、「男女の切った張った何だかんだ」に、全く関心がないだけなんだ。
　だから、聞いた端から忘れる。と云うか覚えられない。どうやらそういった事柄は、わしの脳内メモリーに記録するほどのモノではない、と記憶中枢に判断されるらしい。
　現に、今日の話も「色々聞いたなあ」くらいにしか記憶にないし。特にアルコール入ったから、忘れる忘れる。健忘症かってくらい、覚えてない。でも、何を飲んで食べたかは、ちゃんと残っているぞ(爆)。
　まあ、それが仕事に関係してくるなら別だがね。「性格的にどうしても合わないから、一緒に仕事はしたくない」と云う事は、ありうる話だからな。そういう人同士に、無理にチーム組ませても、いい仕事が出来ないばかりか、巨大トラブルの火種になりかねないし。
　今回の話は、確かそういうのには全く関係なかったような気がする(＜って既に忘れきったな)。

　なので、「口が堅いから話さない」ではなく、「覚えてないから話せない」が正解……。

新瀬