4月だというのにカッと照る太陽の中、テニス。 似合わないからと帽子を買ってなかったあたしに、 さりげなく寺島が貸してくれた。
返せと言われても笑って返さなかったのは、 まだ優しさの余韻を感じていたかったから。
あたしはこないだ、 あたしを見て話を聞いてくれることを、 有田君がしてくれると書いたけれど、 昨日、寺島はしてくれてた。
あたしが気づいていなかっただけだ。
コンタクトをしばらくつけずにいて、 久しぶりにつけると、 世界が明るくて、 こんなにキレイだったのかと感じるけど。
世界は何も変わっちゃいなくて、 ただあたしの眼が変わっただけであって。 そんなことを、最近思う。
寺島は、きっと何も変わってない。 あたしが変わっただけ。 寺島の優しさを、信じられるようになっただけ。
それだけなのに、違うのね。 信じることって、だから大切なのね。
バイトで当分会えなさそうだから、 次会うときに、 「何か違う」って思わせるぐらいに痩せてるといいな。
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