under one umbrella

2005年03月21日(月) 笑ったけれど



最近、子供が欲しいとか、
子供の世話が楽しいとか思わなくなったとか言うのは、
寺島との未来が考えられないからだと思う。



理由を上手く書くことは出来なくて、
それは多いからという気もするし、
複雑だからという気もする。
基本的に理由はよくわからない。




テニスクラブに子連れの夫婦がいらして、
子供の名前は篤史君で、
寺島とあたしはよく「あっ君」と呼んで相手をしている。

手の空いたときに相手をするので、
大抵はどちらかと遊ぶのだけど、
ふとしたときに3人になったりする。


今日はちょうどその「ふとしたとき」がやってきて、
3人でコートの備品を取りに行くことになった。
3歳のあっ君は、右手に大好きなぬいぐるみを持ち、
左手で寺島と手をつないで、歩いてた。

あたしはあっ君の右側を歩いていて、
今日は手をあっ君とつなげないな、なんて思っていた。


あっ君を笑わせるために、寺島が動いて、
あっ君をつかまえたりする。
その度にキャッキャッとあっ君が笑う。
周りの友達に何度言っても信じてくれないけれど、
寺島は子供好きだ。


そうしてるうちにいつのまにか、
あたしはあっ君の左側にいて、寺島は少しあっ君から離れていた。
甘えたがりなのか、あっ君はすぐ手をつなぎたがる。
空いている左手の傍にあったあたしの手を、つかんでくれた。



ただ、あくまでもあたしは彼にとってまだ新顔。
寺島の方が、好きなのだ。
寺島が戻ってくると、また手をつなぎたがった。
ぬいぐるみを少しだけ、押し潰して。

要するにあっ君を真ん中にして、
3人とも手をつないで。



あぁ、家族つなぎになっちゃった、と、
あたしは冗談を言って笑ったけれど、
本当は笑えなかった。
リアリティのなさに笑えなくて、
それが不思議じゃない自分にも笑えなかった。


あたしは一体。
何が欲しいのだろう。






昨日の地震の瞬間。
あたしは、電波の届きにくいところにいた。
すぐさま電話をすることも、
メールを打つこともままならなかった。

打つだけは出来ても、なかなか送信が出来ない。
それは電波が届きにくかったからなのか、
電波が多く行き交っていたからか知らないが。

ようやく送信して。
返信を受信するまでに、30分ほどあった。
寺島は無事なのか。それだけが頭にあった。
生きた心地がしなかった。


やっと。
本当にやっと返信が来て。
一気に安心して。
変わらない自分を自覚していたりもする。



今はよくわからない時期。
なのかな。






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