長崎・佐世保と、東京をつないでいた、 寝台特急「さくら」。
高校生のとき、ホームで待ち合いをしているとき、 よく見かけていた。
見かけるたびに、そのときの自分がどんなでも、
「あぁ、これに乗ったら小田に会えるんだなぁ」
と思っていた。
廃線になると聞いて、 その頃のことを思い出した。 乗ったこともないけれど、何だか寂しかった。
もう、あなた直通のものはないのかな。 ねぇ、今年も本当に会えるのかな。
電話もメールもしないのは、 きっと会いたくなってしまうから。 それも、あたしだけ。
中1の頃。 瞬間にかすめた、あなたの手の温度と、感触。 まだ憶えている。
明日は、小田がくれたあのジュースを飲もう。 そしたらきっと、元気になれる。
昔小田がくれた、優しさの一つ一つで。 心を癒してみよう。
せめて1時間くらいは。 喋っていたいんだけど。
何せ人気者。 こっちに来たら忙しい。
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