苦しくて仕方なくて、 これがあたしの限界なのか?って思った。 もう、 我慢がきかなくなってるのか?
午前中に、メールでやり合って。 そのムードを引きずったまま、会って。 モヤモヤの残るまま、抱き合ったって。 楽しくないのは、明白。
大体、何でそうなったのかって。 そこを言い出せば、午前中のやりとりが思い出される。
昨日あたしを誘って、ただ反応を楽しんでた寺島と、 真に受けて、その気になってしまったあたし。 どっちが悪かったのか?なんて、意味がなかったんだよ。
喧嘩することに、慣れてないんだから。
そうした気持ちの伝え方も、謝り方も、 気持ちのセーブの仕方も、知らないんだから。
やっぱり、って、あたしは思う。 1人はセフレ、1人は恋人モドキって思ってるんじゃ。 うまくいくわけなくて、さ。
けど、じゃぁ何であたしは、 いつものように流されてしまったんだろう。 あんなに長ったらしいメールを、書いたのにね。
要するに、あたしは。 高1のときとちっとも変わらず。 悲劇のヒロインを演ることが好きなのだ、と思う。
だって、 辛い辛いって、涙を流していればいいんだもの。 そうすればそのうち、王子様が現れて、 ハッピーエンド。 そんなことを、夢見ていられるから。
シャワーを浴びながら、独り言をつぶやいて、 ヒロイン気取りの自分を、罵倒した。 馬っ鹿じゃないの。 そんだけ自分を好きなら、 もっとまともに愛しなさいよ。
もっと上にいけるように。 誰にでも誇れる自分になれるように。 寺島のご機嫌取りをしないように。 堂々と、あたしらしくいられるように、努力すればいい。
有言不実行が、あたしの、最大の短所。
寺島に「愛してる」と言いながら、 竜崎君のメールを保護してるんじゃ、寺島は信じられないんだろう。 全然別物の、感情だったりするのにね。
喧嘩のせいだか、 楽しくないセックスのせいだか、 はたまた別の原因か、知らないけれど。 苛々していた寺島は、あたしに当たってた。
原因はあたしだと言われてもおかしくないけど、 それなら、 もっとはっきり責めれば良いのに。 何が気に入らないのか、ぶちまけてしまえばよいのに。
遠回しにあたしを苛めて、 あたしの髪の毛を変な形にして1人で大笑い、なんてことされたら。 あたしだって、苛々してしょうがなくなって。 いつもの余裕なんか、消えてしまうよ。
慣れない喧嘩に、わかりあえないもどかしさに、遠回しの責め。 トリプルパンチに、あたしはすっかり疲れた。 布団にもぐりこんで、このまま消えちゃいたいと思ってた。
でも、母親に付き合わされて見た『冬のソナタ』に、 少し救われて。 限界かも、なんて思った自分を恥じた。
愛に限界なんかないはずなのに。 あたしは何、言い訳見つけてるんだろう。 そんな言い訳だけは。 絶対思っちゃいけない。
愛してる。 これだけは、死ぬまで。 何があっても。
そんなセリフに、 1番泣いてたり。
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