日記を、 書いては消して書いては消して。
だって今の状態を、 「幸せ」なのか「辛い」のか。 あたしには、決められない。
一本の線を、書いては消して書いては消して。
昨日の寺島は、優しくて。 小さなことで泣いたあたしを宥めて、 髪を撫でて、 あたしの顎をくいとあげて、
「そんなことで泣くなよ」
と。
おかげで涙も、 日中のちょっとした苛々も、すっかり消えた。
だから要するに。 そんなにして、寺島は優しくしてくれて、 あたしに幸せをくれるのに、 「彼女にする」という言葉だけは、 くれない。
「好きだよ」 と、電話で囁いてくれるけれど、 それが本当なら、何故その先はないの?
そうして何故、 あたしより遠いはずの女の子が「彼女」になれるの?
「彼女」に対するこだわりは、意味がないかもしれないことはわかってる。 けど、意味がないなら、余計に。 その子が彼女になれる理由がわかんない。
ぐるぐる回りながら、あたしは線を消す。
昨日を思い出して、線を引く。
女の子を思って、線を消す。
未来を想って、線を引く。
「まりあが痩せたら、美人になるよ」
少し痩せるたび、必ず褒めてくれる寺島。 そう言ってくれるときも、確かに嘘はついてない目だから。
遅いかもしれないけど、 もし今頑張ったら。
今からでも、大丈夫、かな?
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