under one umbrella

2004年07月10日(土) 笑ってくれればいいから。


会えなかったけれど、
よく考えてみると、会わなくてよかった。

何せ私は寝起きだったし、
夕ご飯はエビチリだった。

部屋は、いつだかの飲み会のまんまで、
酒の缶は半端なく転がっていたし、
クーラーのある寝室も、
前に市丸と竜崎君が置いていったジュースの缶とかペットボトルがあって、
とても寺島と会える状況じゃなかった。


日記を見たからなのか知らないけど、
電話してきてくれた寺島。
ありがとう。
楽しかった。





電話の中で、
寺島が少し、
私達の今までを振り返った。
寺島と一緒に考えることは、ちょっと、涙が出た。


寺島は、高校2年の5月から高校3年の5月までを、覚えていなかった。
一番、「恋人」「らしかった」時期。
そのとき私は、日記を始めた。

今、まったくログは残っていないけど。
もし読み返したらすごいんじゃないかな。惚気で。
寺島は、キザなことばかり言ってたから。


寺島に、
「その頃が、一番よかったでしょ?」って言われて。
正直、そうでもないと思った。
あたしの頭からも、薄れてきているから。


何だか義務みたいに。
付き合い始めた日付とか、時期とか、覚えているけど。
何の意味もないと気づいたのは大分前で。
少女漫画への憧れが、まだちょっと残っているだけだと思う。


寺島が覚えていないのも、無理はない。
あたしの頭から薄れるのも、当然のこと。
だってあの頃は、きっと幻だったから。


忘れたくて、幻と言うんじゃない。
あたし達は、若かった。
「恋人」という響きに憧れてた。
「恋」に「恋」していた。
「恋」の辛さも、知らずに。


あの頃あたしは、あなたの何を見ていた。
くれる言葉に満足するばかりで、
何も見ていなかったから、今途惑っている。
何の努力もしなかったから、
今あなたに何もあげられなくて、苦しい。


あなたを失って。
自分を見つめて。
得たものは確かにあって。
だから昔がよかったなんて、思わない。
それでも傍にいれる今の方が、幸せ。


あの頃があるから、今のあたしがあるけれど。
決してあたしは、戻らない。
愛してくれる寺島を好きだったわけじゃないと、気づいたから。
ただ、好きなだけだから。
笑ってくれればいいから。



「今」が全て。
それは悲しいけれど、だからあたしは生きていける。
「未来」を見つめて、「今」を生きる。
それが正しい、こと。



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