under one umbrella

2003年08月09日(土) 麻薬?いいえ、媚薬。


今日も寺島は家に来た。
上がるつもりはなかったみたいだけど、父がいないとわかって上がっていった。
いつものような時間が過ぎて往ったのだけど、この間とは全然違ってた。
時間に余裕があったからかな。
この間にはなかったもの。
笑顔があった。


何だか当たり前のようなことだけれど、
寺島が笑ってくれると私も笑える。
その笑顔が私の幸せ。
そんなシンプルな喜びが胸を満たしてくれること、初めて知った。


この間は寺島が、いつものポーカーフェイスのままだったから。
嫌われたんじゃないかって不安になってた。
それが空しさの原因だったと思う。
笑ってくれると、あ、楽しいんだなってわかるから。
仮面を取ってくれたってわかるから。
すごく嬉しい。
私が、あなたの傍にいれてる。


「最初は上がる気なんてなかったんだよ。
たまたま早く終ったから、一緒に帰って話そうって思ってた」
そのセリフが、私の孤独を癒してくれた。
ありがとう。
私の「好きだよ」は、本当の言葉だったよ。
ちゃんと伝わったかな。
あなたが茶化すから、それはわからなかった。
だけど私の、
「陽ちゃんだけだよ」
ってセリフには、嬉しそうに笑ったね。
その笑顔を信じていく。
それももう決めた。


あなたの笑顔だけで、こんなに元気になれる私は変かな。
だけど真実。
それはきっと、寺島に恋し続ける限り変わらないんだと思う。
他のいろいろなものが変わっていっても。


降り出した雨のせいで、帰り道は落ち着かなくて、
言いたかったことは結局言えなかった。
私はまた歩いて帰った。
だけどトボトボとじゃない。
ゆっくり静かに。
寺島の笑顔と、幸せをかみしめながらだった。



抱き寄せられて、久しぶりに吸い込んだ寺島の匂いは、
まるで麻薬みたいに心地良く、私の中に入ってきた。
「愛してる」
次はきっと、言うからね。


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