正直言うと、本当に来るなんて思ってなかった。 来るといいながら来なかったことは、付き合ってたときでさえあったし、 彼の両親に彼が使えそうな口実は、もうなかったハズだから。 受験生には、時間はない。 だから、キャミソール1枚にジーパンという、いつもの休みの日のスタイルで、 のんびりと本なぞ読んでいた。 彼が家に入ってきたのが見えて慌てたのが、午後1時。
慌てても、待たせるわけにもいかずに、結局その格好のまま、彼を迎えた。 「今日は何時に帰るの?」 「6時半かな」 驚いた。 付き合ってたときに、そんなに長い時間がとれたことは、あまりない。 皮肉なことね。 おかしくって、涙が出そう。 「どうしたんだ?」 「悔しくって」 今さら嘘なんて、つけない。 「泣くな」 「ごめん」
いつもしてたような、一通りのことをしたって。 時間はまだまだたくさん。 5時間半は、長い。
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