NORI-☆
My追加
ジェットコースターではなくて……
日曜日、2年ぶりでTDLへ行った。 ヨシキは1歳4ヶ月のデビュー戦、 サトシは身長100センチの壁を越えてから初という、 ともに記念すべきインパークである。 100センチの壁とは、いわずと知れた 3つの"マウンテン"ものアトラクションの身長制限である。 直接関係ない大人でも、入り口にある背比べ用の看板には 見覚えがあるかもしれない。 仲間内で一番背の低い人に「ちゃんと足りてるか?」と振るのは ほとんどお約束、ママも学生の頃などいつもやられていた。 しかし、3~5歳の子供にとっては、 この背比べは冗談ごとではないのだ。 2年前3歳のときスペースマウンテンの入り口に何気なく立っていたら、 駆け寄ってきたキャストが「お兄ちゃんはどうかな?」と 丁寧に膝をついて背比べをしてくれた。 当時90センチギリギリくらいだったサトシは当然×、 しかしもとより乗ろうとして並んでいたわけではないし、 恐がりのサトシはジェットコースターになど興味もなかったので、 べつだんがっかりすることもなかったのだが、 キャストのお兄さんはとっても申し訳なさそうに 「この線より背が高くないと乗れないんだ~ごめんね」と ポケットから1枚の紙を取り出し、さらさらと何やら書きこみ、 「これを大切にもっていてね」 とサトシに渡してくれた。 「?」ぽかんとしているサトシに、 さらに2枚、ミッキ-のシールをくれ、 「お子さんの身長がこの線より大きくなられたら、 この"チャレンジャー証明書"をお持ちください。 列に並ばずにスペースマウンテンにご搭乗いただけます!」 と爽やかな笑顔で私たちに説明してくれた。 なるほど…これが噂の"チャレンジャー証明書"か! 該当するサイズの子供がいないと実際に手にすることはないが、 TDLマニアのママの間ではよく知られているシステムである。 本人は別段スペースマウンテンに乗れる日を楽しみにしている というわけではなかったのだが、それ以来、 パパとママは「サトシがチャレンジャー証明書を行使する日」 を結構楽しみに待っていたのだった。 だいたい年1ペースでインパしている我が家だが、 昨年はさすがにヨシキが小さいのでお休み、 その間の1年でめきめきと身長を伸ばしたサトシは、 100センチの壁を突破して、「一人前」のゲストになっていた。 「じゃあ、いよいよあの券を使おうか?」 パパが聞いたとき、サトシは嫌な顔をして言った。 「サト、ジェットコースターなんか乗りたくない」 そう、そうなのよね(^^;) 前回、3歳から乗れるトゥーンタウンのガジェットのコースターに 初挑戦して、とっても恐い思いをしたのよね… 実はジェットコースター系があまり得意じゃないママも、 3つのマウンテンの中ではスペースが一番恐いと思ってる。 真っ暗でコースが見えなくて、それでいて 案外狭いところをぐるぐる走ってるらしくて、 ふとした拍子にすごい近いところで別のとすれ違ったりして、 なんかすごく恐いのよね。 だから、ママは恐がりさんにはあんまりオススメしない(^^;) それに、外からはあの建物しか見えないから、 全然興味がわかないというのもよくわかる。 でも、それとはまったく逆の理由で、 サトシが乗るのをすごく楽しみにしていたアトラクションがあった。 それは「ビッグサンダーマウンテン」。 これはもうアウトドアものなので、どこからみてもよく目立つし、 我が家のTDL必須アイテムの「ウエスタンリバー鉄道」に乗ると、 すぐ横を走り抜けていくのを何度も見ているから、 「あれに乗ってみたい」という憧れを持っていたらしい。 それに、なんと言っても汽車の形をしているところが魅力なのだ。 そんなわけで、今年の目玉は「ビッグサンダーマウンテン」に決定。 開園30分前から並んで朝一番に駆けつけて、 まだガラガラの「鉱山」の中をずんずん進んでいく。 あっという間に乗り場まで来ると、キャストのお姉さんが 「1番にお進みください」と案内してくれた。 ガタンッと音を立ててSL型のコースターが入ってくる。 え?うそ?先頭なの?(^^;) これにはママもちょっとびびった。 さすがにちょっと怖いんじゃないかな?大丈夫かな? でもサトシは普通の電車と同様、「先頭車両」に満足して ご機嫌で発車を待っている。 動き出してしばらくはゆっくりした動きで、 山からの眺望を楽しんだりする余裕がある。 そして徐々に加速して、ハイスピードで上り、下り、 内側に大きく傾いてカーブを曲がり、 真っ暗なトンネルをうねりながら通り抜けていく。 はじめ「気持ちいいね~」なんていってたサトシも だんだん緊張してきて、ついに 「こわい~」とママにしがみついてきた。 ママもけっこう先頭席の迫力に圧倒されながら、 サトシの肩にしっかり手を回して、 「すごいね~!」「速いね!」 「やっほ~~っ!!」「わー!岩が落ちてくる~!」 「真っ暗だね~!」とにぎやかに声をかけて盛り上げる。 そのうち、サトシも「キャッホーッ!」と声を上げはじめた。 ガタン、シュッーー…とようやくコースターが止まると、 サトシはしばらく動かない。 ありゃ、固まっちゃったよ…(^^;)と思っていたら、 元気よく立ち上がり、身軽にホームに降り立った。 洞窟の出口を手をつないで歩きながら、 「…ビッグサンダーマウンテン、怖かったねぇ…」 と感極まったようにサトシが言った。 「サト、すごかったね、泣かなかったね?」と言うと 「あったりまえだよ!」と頼もしい。 そして、もう一度 「こわおもしろかったよねっ!」と元気に言った。 すごいぞ!強いぞ! 怖がりサトシが泣かないで乗り切って、 怖かったけど面白かった、という感想を述べている。 ママはなんだか涙が出そうになった。 「すごいよ、さすがニイニ、かっこいい!!」 この反応にはパパも大いに感激して、 「すごいぞ、サトシ、かっこいいぞっ!」と大満足だった。 さて、それではサトシはジェットコースターを克服したのか? ……それはちょっと違うのである。 サトシは別に「TDLのジェットコースター」としての ビッグサンダーマウンテンに乗りたかったのではない。 いつもウエスタンリバー鉄道から眺めていた、 「TDLの岩山を走る機関車」に乗りたかっただけなのだ。 機関車で岩山を走るからこそ、ちょっとくらい怖くても スピードが出て身体が傾いても、トンネルが真っ暗でも、 わくわくして「こわおもしろい」と思えるのだ。 その証拠に、「今度は、スプラッシュマウンテンに乗るか?」 とパパに誘われても頑としてNO!だったし、 いわんやスペースマウンテンなど見向きもしない。 「じゃあ、ビッグサンダーもう一度乗る?」と聞かれても 「ううん、今日はもういい」と首をブンブン振って断りつつ、 帰るまでに何度も何度も 「ビッグサンダーマウンテン、面白かったね~」と言っていた。 憧れの乗り物に乗ったこと、怖くても我慢できたことの 嬉しさ誇らしさが、やがてスリルを味わう楽しさに変っていけば、 そのうち「ジェットコースターに乗りたい」と思うかもしれない。 それは小学生になってからかも知れないし、来月かも知れない。 でも、今はこれでいいんじゃないかな。 ジェットコースターじゃなくて、山の機関車。 楽しかったね、久しぶりのディズニーランド!
2001年05月21日(月)
/