ぼんのう
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2004年11月14日(日) 酉の市にて




神社手前300メートルあたりから、何やら小気味良い祭囃子が流れている。カセットテープから流れてくるものにしちゃ、音の端が綺麗に整っている。境内に入ると、なんとまあ、生のお囃子だった。今時、このような事をしてくれるとは、この神社も大したもんだ。
本来なら浅草の大鳥神社まで行きたかったのであるが、病み上がりで調子もまだ悪く、それに仕事が残っていたので、武蔵野八幡宮神社に久々に来た。狭い境内で、出店も少ないが、なんともいえないアットホームな雰囲気がこの神社の魅力だ。中に大鳥神社の分社がある縁で、ここも酉の市を行っている。

参拝した後で、熊手を買おうと、神殿に一番近い出店を覗く。本来は熊手だが、あれを置くには、適切なスペースと支えが必要だ。会社に置くのであれば、宝船みたいなものが適切で、一昨年はそういうのを手に入れた。昨年は忘れてしまったが、今年は、それ相応のものを是非とも手に入れたい。
前回は5千円程度だった。熊手や宝船は、毎年さらに大きく、値の張るものを手に入れなければならないという風習がある。となると、予算は7千円くらいかな?

目に入ったのが、正面向いた珍しい宝船。大抵の宝船は横向きだが、こっちに向かってくるデザインは、なかなか目をひく。招き猫も二匹ついており、目出度い以上に、可愛さと華やかさがあり、一発で気に入った。

「本当なら2万円くらいだけど、あんちゃん、1万円でどうだ?」

う・・・当初の予算よりきついな・・・

「5千円じゃ、ダメかい?」
「ははは、あんちゃん・・・それはキツイなあ」
「じゃ、7千円でご祝儀をつけよう!」
「うーん・・・しょうがないな・・じゃ、ご祝儀に期待するよ?」

親方が色々札を挿してくれた。商売繁盛、交通安全、大入・・・

「人間、欲がないと、ダメだからね」




・・・この言葉に、少し、心が打たれたような気がした・・・。
悪い意味での欲が多い中で、人を喜ばせる為の欲があってもいいじゃないか・・・。
自己顕示欲や名誉欲、金銭欲に狂った連中が多い中で、自らを犠牲にして、人に楽しみを与える欲があってもいいじゃないか・・・。
業界と関係ない人たちとほんの少し出会っただけで、世界が気持ちよく感じられるようになった。

結局、ご祝儀に三千円プラスして、結局言い値の一万円で、宝船を手に入れた。
親方達が大層喜んだ。
三本締めを三回も〆てくれた。
我輩も喜んだ。


この業界において、よく思われる生き方は、もう止めようと思う。
逆に、この業界に関係しない人たちと、触れ合うようにしよう。


ANDY 山本 |HomePage

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