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ケンブリッジ在住の須田矢野さん(仮名)が来日中で、夫の職場に遊びに来た。そしてお土産に剣橋の昔の写真集を持ってきてくれたのを夫が持ち帰ってきた。Memory Lane Cambridgeというその本をめくると、1960年代から70年代を中心とした町並みや小道の様子などが次々と現れる。が、「うわー、こんなだったんだー」という感慨はない。人々の服装や、二階建てバスなどは年代を感じさせるのだが、それ以外は拍子抜けするぐらい今と変わらないのである。各戸の前においてあるゴミ箱も、個人商店の店構えも、草地にたむろする牛も、着飾った大学関係者のガウン姿も、見知らぬ通りも、どれも最近見たことがあるような気がしてしまう。まあ、数百年前の町並みが残るような街だから、ここ30年ぐらいの移り変わりは誤差の範囲なのだろうか。 まだ手にとっていないが、森山大道の「新宿」などは、たった数年で様変わりするこの街をとらえた、変化する街の代表のような写真集だろうと想像する。4年ぐらい前にボストンに行った時で夫が学会に出ている間、一人でハーバード大の構内をぶらついていた時に、たまたま森山大道の個展を見た。それがこの写真家を知った最初だったが、この写真家によって切り取られた懐かしさと猥雑さが同居する昭和の数々に圧倒された記憶がある。作品のイメージからなんとなくひげボーボーの男性を想像していたのだが、先日丸の内のOazO内のギャラリーでサイン会をしていて実物を見た。こざっぱりとしたインテリ風の人だった。 表面上もっとも変化がなさそうな街と、もっとも変化が激しい街の同じ30年。今後30年でもっと変わるだろうか。
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