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友人Tさんの出演する合唱団の定期演奏会へ。例年残暑厳しいこの時期の昼間に行われるのだが、外の暑さとホール内の涼しさのギャップがいいのか、いつも白昼夢のごとき数時間となる。これが最近ではひそかな楽しみでもある。今回は、ヘンデルのメサイア。時期はずれにも思うが、諸般の事情でこの合唱団は夏にメインのコンサートを行うので、こういう乙なことになる。 演奏が始まると、まずテノールに聞惚れる。インテリ風な容貌にぴったりな正確な歌い方である。歌詞の発音が明瞭で美しいのにも驚く。聞く人によっては面白みがないかもしれないのだが、こういうバロックの曲にはあっていると思う。ソプラノの人は若いようなのだが、キンキンした声ではなくやわらかく伸びやかな声である。日本にもこういう豊かな歌い手がぞくぞくと出てきているのだなぁと思う。 さて、ヘンデルのメサイアは、なんといっても「ハレルヤ」の部分が有名である。昔国王が感激のあまり立ち上がったということから、その部分だけ聴衆が起立して聞くという慣わしがある。芸大など毎年メサイアを演奏しているところでは、常連となっている聴衆もなれたもので、さっとほぼ全員が立ち上がるのだが、ここではどうだろう、立つのかな立とうかな、と思っているうちにあっという間にその箇所が来てしまった。立ち損ねちゃったなと思いながら客席を見回すと、10人足らずの人たちが立ち上がるところだった。やっぱり立たなくてよかった。こういうものは雰囲気というか、必然があってしかるべきものなのだ。国歌や校歌で起立するというのともまた違う。遠い国の昔の話に則って、大真面目に直立不動になっている人たちをみてちょっぴりアイタタな気分になった。別に無理して立たなくてもねぇ、座ってるほうが楽じゃん…。
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