WELLA
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2003年11月17日(月) poco a poco

所用があって以前住んでいた辺りに行った。
結婚以来4年ぶりに東京に戻ってくることになり、今のマンションが建つまでの1年と2ヶ月ここに住んだ。期間限定だから面白い街に住もう、といって選んだ1LDKの賃貸で、夏の暑い盛りに引っ越してきて秋を2回すごした。大きな荷物は実家に預けたままの仮住まいで、終の棲家にはたどり着かない、旅の途中のような軽い緊張感がいつも付きまとっていた。ほんの3年ほど前のことなので街も大きく変わったわけでもないが、通りの反対側から住んでいた部屋を眺めると、それなりにさまざまな感慨が湧き上がってくる。
二人とも東京の生まれで、生まれ育った地に戻ってきたといってもまた一からやり直しで、ここに居を構えて、少しずつ今の生活基盤を再構築していった。私はフルタイムの仕事をやめて、結婚して、東京から離れていったのだから、昔の生活に戻るわけではなかった。孤独ではないが、心もとなかった。非常勤の仕事を得たが、始めは半期にたった一コマで、前途は見えなかった。暇をもてあまして焦ってもいた。焦るあまり派遣社員でデータ入力のバイトをしたりした。夫も今よりたくさん余暇の時間があった。テクテクあるいて街の探検もした。ネットでの交流にもずいぶん癒された。実際今ネットで親しくしている人達との関係はこの頃に培われたものが多い。派遣先で知り合った人とは、後に一時フルタイムで就職したときに同じ会社に入ってもらって、今も彼女はその会社にいる。
実世界ではろくに知り合いもできなかったこの街で、少しずつ少しずつ積み重ねていったことが今につながっている。


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