WELLA DiaryINDEX|past|will
肌寒い朝。 秋物を引っ張り出して着る。道端に、金木犀が咲き始めている。つい十日前には「浴衣で披露宴に行きたいぐらい」などと軽口を叩いていたのが嘘のようである。 前の会社(と、その前の会社)で一緒だった女性の先輩とランチ。私はフランス語教室の帰り、あちらはお茶のお稽古の帰りで着物姿。と、これだけ書くとマダムの「おランチ」のようである。実際はドリンクつき税込1200円ちょっとのパスタセットと、場所を移してアイスクリームスタンドでカップ入りバナナサンデー380円なり。強風で洗濯物の行方を気にする彼女と4時前に別れて帰宅。 帰路バスに乗っていると、車椅子の老人がバス停で待っていた。こういうのはバス会社に事前に連絡をするのだろうか、運転手さんが「車椅子のお客様がお乗りになりますのでしばらくお待ちください」といって降りていった。実は、 バス停手前のゼブラゾーンにワンボックスカーが停車していたせいで、バスはずいぶん歩道から離れた位置に斜めに止まっていた。バスから鉄板折りたたみ式のスロープを出しても、歩道に届かない。一度運転席に戻って切り返しをするが、あまり功は奏さなかった模様。歩道の段差を避けるために運転手さんが車椅子を押してぐるっと回ってきた。バスの乗客が見守る中、スロープに乗せるがうまく方向転換ができない。小柄で軽そうな老人なので、抱き上げたほうがはやそうだと思って見ていたら、そこへ「手伝いましょう」と中年の男性が進行方向後ろから近づいてきた。運転手さんは初めのうちは大丈夫ですといっていたが、結局男性の力を借り、二人で車椅子を持ち上げてあっという間にバスの床に乗せた。ついで運転手さんは、車椅子用のスペースにある座席を折りたたんで、老人用の場所を確保する。その中年男性は、その作業が終了するのをバスの外から見届けると軽く挨拶して去っていった。 男性の姿を目で見送ると、バス停手前に停車中のワンボックスカーへと戻っていく。ありゃ。そもそもあの車がいなければあんなに作業は難航しなかったのでは?罪滅ぼしか?それともまったくのイノセンスか? そんなこんなで家につくまで意外と時間がかかった。マンションのエントランス周辺には金木犀がむっちり香っていた。
|