いつもの日記

2001年10月09日(火) 14日目

雨が降る。
フェンダーミラーもルームミラーも見えにくい。
ワイパーは正確無比で同じ動作を繰り返す。

歩行者はやはり少ない。
でも時折見かける。
傘をさして買い物へ。
はたまた家路へ急ぐ。

僕は教官の横田を助手席に載せてドライブ。
彼は行き先しか言わない。
次はコスモ石油の前の路肩に止めるという司令だそうだ。

とても静かな車内。
ワイパーはシャコシャコと一定のリズムを刻む。
車が横を過ぎて風がフュンという音を僕の耳に届かせる。
水溜まりにいけばバシャバシャとタイヤと雨水が合唱する。

あまりに静かすぎて横田が寝たのではないかと思って、横田の顔を見る。
でも彼は絶対に寝ていない。
彼は細いつぶらな瞳で前方から目を離さない。
彼は僕が見た事にも気にせず平静を保っている。
いや、ただ僕が見た事に気づいてなかったのかもしれない。

すぐに視線を前方に向け、スピードメーターを気にしながらドライブを続ける。
ワイパーと風とタイヤと雨水も音を出し続ける。
とても静かで楽しいランダムな協奏曲をかなでながら。

だから僕は雨の日のドライブが好きだ。

間違っても「雨の日は歩行者が少ないから」という理由ではない。
ただ彼らの演奏に耳を澄ませたいだけなんだ。


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