そうめん会議はその日の昼に行なわれた。 基本的にそうめん会議は昼に行なわれる。 朝や夜には行なわれない。 みんなが基本的に昼が一番集まりやすいからだ。 私達の会社からは私とナガサワが出席した。
今までのそうめんの減り具合と残っているつゆの量と8月末という時期を踏まえて私達は 「1人1束・つゆ残し」 を主張した。 そうめんの残量はピーク時の半分くらいで、つゆの残量は指2本分くらいであったが、 つゆ残しは妥当といえる選択だったと思う。 でもなにせ私達の会社の出資者であるフクイが、ちょっと南国の島に1泊2日の羽を、 伸ばしているから思いきった行動が取れない事も一因としてあった。
会議は難航を極めた。 フクイはリゾートで楽しんでいる場合ではなかったのだ。 私は立ち上がり叫んだ。 ナガサワは机を叩いた。 フクイの車が当て逃げされた事などそもそも関係無かった。 私はメガネを取った。 ナガサワは上着を脱いだ。 フクイは南国の島へ行くと言ったが、車で行ける南国の島など何処にあるというのだ。 私はストレートを放った。 ナガサワはタックルした。 しかし会議は無常にも 「1人2束・つゆ完全使いきり」 という結果をもたらした。
つゆが入っていたビンはぴったりカラになり、もちろん捨てられた。 会長のフクイのためにそのビンを持ちかえリたいと主張しても無駄だった。 私達は泣く泣くそうめん2束を胃の中にほうり込んだ。 悔しさのあまりナガサワの口から嗚咽が漏れた。 僕達はあの時の悔しさをたぶん忘れないだろうし、あの味は絶対に忘れない。
そうめんはもともとは9束あったが4束減って残り5束になった。 私達はその5束になったそうめん箱をしっかりと抱え会社に持ち帰った。
午後からのお米会議は水の量が多すぎて決裂したらしいが、我々には関係のない事だった。
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