人工的な光源のないところへ
車を駆る．

到着．
ライトを消して
エンジンをOFFにして

．．．

静寂が
ぼくを出迎えてくれた．

そして
もうひとつ．．．

夜だというのに
紺碧の空を受け継いだような
時間と
空間の
概念を打ち砕くような
神すら創造できないであろう
ソラが存在していた．

そう．．．
夜空なのに
夜空らしからぬ空が広がっていたのだ．

もし
今
このぼくだけのテリトリ－に侵入してくるモノがいるとしたなら
いくら拒んでも
いいと思えた．

それが人であれば
殺してもかまわないと思えた．

なにものでも
排除していいと思えた．

それほど強烈に広がる空なのだ．
星が妖艶に輝く空なのだ．
黒い青が広がる空なのだ．

こんなところで死ねたら
悔恨なんて消えてしまうのかもしれない．

なにものかが通り過ぎたように
雲と紫煙を蹴散らしていく．

風なのか
他の存在なのか
わからぬまま
その気配が消えていった．

GARAMの甘さが
今日は
やけにやさしく
やけに甘ったるく感じられた．

☆　天翔（あまかける）　大空をかけめぐる，主として神や人の霊についていう．