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2005年01月01日(土) 雪代...想いだすだけで微笑んでしまうような

深夜,凍えながら庭に出た.
そこには凛とした世界が確立していて
物音ひとつない.

何かがいる気配がする.
しかし
何もいない.

何もいなければ
音まで存在しないではないか.

雪が音を吸収しているのだろうか.
それは
雪が音まで凍らせているのだろうかと
いってもいいほどである.

耳を澄ますと
音の凍る音だけ聞こえてきた.


この時間とこの空間とこの音は
ぼくだけが独占しているようで
想いだすだけで微笑んでしまうような
そんな微かな笑みを
思わずもらしかけてとめた.


松が雪化粧して
他の庭木も同じく雪化粧をして
その中に
完全に熟しても落ちないでいる柿と
瑞々しい柚子の実が
暖色系の暖かみを醸し出して
寒さの中でもどこか和む.

自分の家の庭ながら風情があると思った.
先代たちが創り,守ってきた
演出された小さな自然の舞台に
自ずと感謝してしまう.


月と群青の空に照らされて
青白く光る雪.

ふと想いだしそうになり
先程の微かな笑みを消したように
その想いを封じ込める.

雰囲気は良くても暗く寒い真夜中より
明るい朝に想いだしてみたらいいのかもしれない.

孤独で
孤高の時間を今は大事にしてみよう.
朝までは
自分とまっすぐに向き合う
恰好の時間なのだ.


今年は
亡くしかけてしまった自分を取り戻してみるか.
そう思って
手に取った雪の一部が透明な液体になる.
こんな感じになれたらいいのだろうな...
こんな感じにしてあげられたらいいのだろうな.

透明でやさしくとけていく結晶.

素直に解けてみよう.
素直に解かしてあげたい.

年の節目に
こんなきれいな夜は中々ない.


☆ 雪代(ゆきしろ) 雪どけの水の意,雪水とか雪解水ともいう.



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