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| 2003年10月04日(土) |
風結...ビルの谷間の気ままな遊び人 |
今日も電車でちょっと出かけた. 用事を済ませ,ぶらぶらしていると香ばしい薫りがしてきた. 珈琲屋さんだ. カフェではなく,豆を売っているだけの小さな店だった. 店頭にあるのは生豆だけで褐色の豆はない. 話をしてみるとその場で買っていただく分だけ焙煎するという. 珈琲を愛するものとしては,なぜか買わなければという衝動に駆られてしまった. イカンイカン... いくつもある種類の中で,散々迷った揚げ句に買ったものは... ブラジルのピ−ベリ−という豆. 特徴は,普通の豆より小粒で,味はどちらかというと軽めの苦みと ほのかに薫る優しい甘さだろうか. 値段も比較的リ−ズナブルなのである. 珈琲の師匠から珈琲の好みの話をしていたときに進められたもの.
家に帰ったら挽いて飲もうと思っていたのだが... 駅の近くにあるカフェをみたら一休みしようと思ってしまい そのまま珈琲片手に小説を読みふけった.
午後のゆるやかな陽射しと 気ままなビルの谷間の風と 秋を感じながらテラスで過ごしていた. コンクリ−トの地面の中の緑地帯に佇む一本の金木犀. 気ままな風は向きが変わるたびに珈琲とは違う種類の薫りをぼくに運んでくれた. 甘い薫りだ. リラックスしてだらだらと座りながら読書と2種類の薫りを交互に楽しんでいると 唐突にそれは壊されてしまった. 相席を申し入れてきたカップルによって人工的なド−ナツの甘い香りがきたのである. なんとなくけがされた気分だった.
「どうぞ,ごゆっくり...」 ぼくは彼らにそういって,気ままな風に乗って遊んでいる甘い薫りをあとにした.
まさにそのとき クロアゲハがビルの谷間をゆらりと舞って消えていった.
★ 風結(かぜむすび) てがかりなくつかまえどころのないこと.
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