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2005年02月20日(日) NYの街角:一ドル入りの財布


スケートリンク前にて

パッキングはほぼ終わり。細々としたものを処分すれば、あとは買い物をして終わりというところまで漕ぎ着けた。

それで気が抜けてしまったのか、あまり性質の良くないインフルエンザに罹ってしまった。帰国の直前であるのに、39度近くの熱を出し、何も食べることも飲むこともままならない状態に陥る。身体をほんの少し動かすだけも難しい。鉛のように重い体、というクリシェがあるが、まさにそんな形容が当てはまる。もっとも、この鉛の身体にさらにアンカーを付けたような感じである。苦しいのでタイレノールを飲んで寝て過ごす。24時間近く殆ど継続的に寝てしまう。さすがにそれだけ休めば、何とかなるもので、熱は引き、立ち上がることはできるようになった。

さて、直しをお願いしているスーツを取りに行かねばならない。重い足取りで(しかし心は軽く)Riflessiに行くと、AldoがNYCの店に帰ってきていた。再会を喜ぶ。

そのうち、どうしても見てもらいたいものがあるといってAldoが取り出してきたのが、ハンドメイドのISAIAという聞いたことがないブランドのスーツである。一目見て気に入る。肩を通すと、実に軽い。ほとんど一目ぼれであったが、値段を聞くと3000ドルという。スーツ一着に掛ける値段としては、さすがに躊躇する金額なので、うーんと考え込む。と、まとめて買っているので、1300ドルまで下げるとのオファーを受ける。少々買いすぎの懸念もあったが、魅力に抗しがたく、結局購入。最優先ですぐに直してくれるという。

今回買った合計8着のスーツ以外にも、前から欲しかったヴェルサーチのコーデュロイ・ジャケットを買ったりした。我ながら、いいお客だろうと思う。

***

帰国の前日、取りに行くと、プレゼントがあるという。空けてみると、ブルガリの財布である。そして、そこにAldoが一ドルを自分の財布から取り出して入れてくれる。

「これはね、イタリアの伝統的習慣なんだ」とAldo。「財布を人にプレゼントするときには、空のままで渡してはいけない。それはバッド・ラックを意味するから。だからこうやってお札を一枚忍ばせておくんだ」

私はそれほど浪費家ではないので、おそらく5年間はスーツを買いたす必要はないだろう。しかし、NYCへのビジネス・トリップがあるたびに、ここで買い物をしてしまうような、そんな予感がする。

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