昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2005年06月08日(水) everyday,everynight

 一難さってまた一難、ということで、今日も仕事でトラブルに見舞われる。変化に富んだ毎日でまことにけっこうであるが、客に怒られるのがあんまり気分よろしくない。なだめたりすかしたり、右往左往して、あっという間に夕方。

 あとはなるようになるだろう、というか、逃げるが勝ち、というか、いい加減なとこで放っておいて、夜は映画を観に行った。十三まで自転車をこいでいく。雲行きあやしく少々不安を覚えるが、結局雨は降らなかった。

 フェルナンド・ペレス監督『永遠のハバナ』を観る。キューバ映画。ハバナに暮らす人々の「とある一日」を丁寧にスケッチしたドキュメンタリー。いかにも私の好みそうな映画だ。小品、という印象は拭いがたいけれど、良かったと思う。
 それぞれの夜の過ごし方。
 10歳の少年。水で乾杯してから、少年は父と夕食をとる。片付けのあと、一緒に屋根に登って月を見る。それからベッドで影絵をして遊ぶ。遊びつかれて眠る。少年が寝ついても、父はその寝姿をじっと見守る。少年は早くに母を亡くし、少し障害がある。少年と少しでも長い時間を過ごせるように、父は仕事を変えたのだという。
 ピーナツ売りの老婆。夜になると明日の商売のタネになるピーナツを煎り、紙に包んでいく。ひとつひとつ、丁寧に。ピーナツを売って得られるお金は、生活の大切な維持費だ。老婆はこの映画の出演料で、中古の冷蔵庫を買ったという。でもその冷蔵庫はいくらも使わないうちに壊れてしまった。共に暮らす年老いた夫は、早くにベッドに入って眠りにつく。老婆はその寝姿を煙草を吸いながら見守る。
 元美術教師の女性。夜になると、キャンパスに向かう。描いているのは風景画か。質素なパレットに色とりどりの絵の具。傍らには、夫とみられる老人が眠っている。
 たいていの人は、本職以外になにかしら趣味を持っている。鉄道修理工はクラリネット、病院職員はステージダンサー、靴職人はダンスクラブ通い、医者は大道芸のピエロになる。そこでは普段の自分とは違う、もう一人の自分を生きているようだ。仕事から帰って、風呂に入ってヒゲをそって支度を整えて、スイッチをパチンと切り替える。そういう人生に、私は少し憧れる。演奏を終え、踊り終え、ステージを終え、自宅に帰ってくる。暗い部屋ではそれぞれの家族が眠っている。音を立てないように部屋に入り、静かに椅子にすわり、その寝姿を見守る。
 それから、ジョン・レノンの像をイタズラから守るため、像の前に陣取って見守る、交代制のボランティアの人々がいる。朝から晩まで、照る日も雨の日も、途切れることなく、欠かすことなく、ずっと。
 これは、見守る映画だ。誰かが誰かを見守る。その姿は、ちょっともの哀しい。
 セリフもナレーションもないなかで、街にあふれる音や人々のたてる生活音が音楽のように聞こえるところも良い。まわる燈台の光と打ち寄せる波のシーンも、心に残って、忘れ難い。
 ラストで、簡単な登場人物の紹介があり、それぞれの名前と職業、それから今現在、抱いている夢が示される。マルクス研究者だったという老人の夢が、私には最もグッときた。老人の夢。『生き続けるために、健康でいること』。

 八百屋で、トマトを買って帰宅。このところ毎日、トマトと豆腐を食べている。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、山芋とろろ、海苔佃煮、梅干、大根の煮物(昨夜の残り)
 昼食:弁当(牛肉とネギの甘辛煮、ゆで卵、ほうれん草と春菊のゴマ和え、ミニトマト、ごはん)
 夕食:映画の前に、サンマルクカフェのあんぱんと珈琲 
    帰宅後、冷やっことトマトとピーナツと麦酒


フクダ |MAIL

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