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壱カ月昨日明日


2004年08月29日(日) 夢と現実を混ぜ混ぜにしてはならない

 日曜日にしては早起きして、朝ご飯をたっぷりたべて腹ごしらえをしてから、九条のシネ・ヌーヴォで小津安二郎監督の「秋日和」を観た。今日は映画そのものよりも、その後の吉田喜重のトークショウが目当てだったのだが、いざ映画が始まるとチマチマと細かい部分をジッと観察して、充分すぎるくらい楽しんでしまった。
 
 どんなセリフを喋っていても何か良からぬことを企んでいるようにしか見えない佐分利信や、どのシーンでも張り付いたみたいに同じ顔をしている佐田啓二も相当ヘンだけど、何と言っても一番ヘンなのが原節子だ。観れば観るほど不思議な役者だ、こんな人は今現在どこを探してもいない。この単純な喜劇映画の中で、原節子が演じる三輪秋子という女性だけが何を考えているのかイマイチわからない。靄につつまれたみたいにつかみ所がないのだ。特に長い爪に塗られたラメ入りのピンクのマニキュアが、何ともかんとも奇妙に映る。美しく賢明な未亡人を完璧に演じておきながら、あの派手派手しい爪をチラチラさせるのは、艶めかしいというか官能的というか。どこかで読んだところによると、マニキュアは原節子本人のアイディアだとか。どことなく怖いような感じのする女優さんだと思う。

 映画の後は吉田喜重のお話。小津映画の「反復とズレ」について、『東京物語』での空気枕の視線について、松竹の新年会で小津と2時間ぶっつづけで酌み交わした酒の理由、それから『映画はドラマだ、アクシデントではない』という小津監督の最後の言葉が持つ意味について、など、本で読んで知っている話も多かったけれど、直接ご本人の口から聴くとまた格別の思いがある。それに吉田監督は亀仙人みたいなストイックさで、バシッととても格好よく、見ていて惚れ惚れした。私の中で吉田喜重はすっかり「小津について語る人」という位置づけになってしまっているが、晩秋の特集上映にはせっせと通って、一本でも多く監督の映画を観たいものだ。

 すっかり満足して難波に出る。タワーで一枚CDを買って、古本屋さんをひやかし、晩ご飯を食べて帰ってきた。晩ご飯は映画の中にもセリフとしてでてきたビフカツを食べた。

 夜はわりに早く寝たのだけれど朝4時くらいに目が覚めて、リビングに下りたついでにテレビをつけたらオリンピックの閉会式をやっていた。頑張れだの、感動だの、ありがとうだの、なんだかんだとクソやかましかったオリンピックもようやっと終わるかと思うと清々する感じもするが、やっぱりちょっと寂しいような。少しだけ観て再就寝。

・購入物:Filo Machado「Jazz de Senzala」(M1007)
 
・朝食:鯖の味噌煮、豆腐とお揚げの味噌汁、ほうれん草のゴマ和え、ごはん
 昼食:映画の合間にドーナツと珈琲
 夕食:外食、はり重で(ビフカツとサラダ、麦酒)


フクダ |MAIL

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