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2003年06月11日(水) |
「シネマのある風景」 |
山田稔著「シネマのある風景」を読んだ。 1989年から1991年にかけて、主に京都や大阪の映画館で上映された映画についての随筆集。京都朝日シネマ、シネマヴェリテ、国名小劇、三越劇場などなど文章中に出てくる映画館のほとんどが今はもうない。さみしいなあ。 私はここに書かれている映画の半分くらいしかみていないし、中でも映画館で観たとなると「コックと泥棒、その妻と愛人」「死の棘」「いまを生きる」くらいしかない。 「いまを生きる」は題名が嫌だったので観たくなかったのだが、誘われて仕方なく観た。一緒に行った人はやたらと感動していたが、私は何がいいのかさっぱりわからなかった。 山田稔は『なんだか調子がよすぎるぞ』として、特にラストが甘いと指摘し、『いまなお「詩人の魂」を失っていないキーティング先生が学校を追われる日、連帯のしるしに生徒達が机の上に立つのではなく、心では「すまない」と思いながらじっとうなだれて席に座ったままでいる、というのが私好みのシネマの風景である。詩人は殺されるのだ。』と書いている。なるほど!私もそのラストシーンに一票。
また別の章では、 『どうやら芸術では「力をこめる」のではなく「力をぬく」こつをおぼえることが大切なようだ。無駄な力のぬけたひっそりとした作風ながら、丁寧に描かれた細部がやわらかな光を放っているといった作品がいい。「神は細部に宿り給う」という言葉があるが、映画の神様も細部に宿り給うのではあるまいか。』 と書いている。映画は細部だ。大げさなストーリーは邪魔なだけ。 山田稔は素晴らしい。一生ついていきます。
・購入物:なし
・朝食:チキンサンド、牛乳 昼食:たらこおにぎり 夕食:外食、居酒屋にて。焼き魚、根菜煮、牛肉すじ煮込み、麦酒など
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