昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
広津和郎「同時代の作家たち」を読み終えた。どれもこれも興味深くて一気読みだったのだが、中でもすこぶるおもしろかった島村抱月の章に書いてあったこと。島村抱月が大学の講義で洩らした言葉として、
『デカダンというが、実際われわれは現代ではデカダンになる。例えば人から手紙を貰う。直ぐ返事を書かなければならないと思いながら、その日書かずに明日書こうと思う。明日になる。他の手紙が来る。それにも返事を出そうと思いながら、やはり書けずに、後で纏めて前のと一緒に書こうと思う。しかしそれもまた書けない。そこに更に他の手紙が来る。そうして一年、二年とこういう事が積み重なって行く。そしてそうした些末な事が寄り集まって心の負担になり、生活を重くしていくーこれも一つのディケィの形です』
とあるのだが、こんなことを言う人って、もう大好き。 広津和郎は島村抱月について、 『それは一つの孤独な生活者、人生の積極面をでなく、その消極面をまじまじと見まもり、その行手に虚無の洞穴が待っている事を知っていながら、どうしてもそこに向かって足をはこんで行かなければならない運命の人の姿を氏に感じた』 と書いている。わお!島村抱月のことをもっと知りたい。
夜はレコードでエリスレジーナを聴く。エリスはブラジルの女性歌手で一番好き。聴いていて元気になるときと、限りなく心が静かになる時があって、今日は静かになる日だった。でもこれは島村抱月のせいかもしれない。
・購入物:なし
・朝食:トースト、ゆで卵、ツナサラダ、珈琲 昼食:カレーパン、牛乳 夕食:鯛のお刺身、冷奴、チンゲン菜と玉ねぎのスープ、水菜と菊菜のゴマ和え、玄米ご飯、麦酒
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