あなたの影が浮かんでは、消える。 どうして今ごろになって思い出すのか、わからないけど。 あなたと過ごした夏の思い出なんて、何もないのに。
大きな手 よく透る声。
まるで古い映画でも見ているように 穏やかに情景だけが流れていく。
あなたの輪郭をすぐには思い出すことができないのは 自分の記憶をどこかに封じ込めようとしているからなのか それとも、単に時間の流れがそうさせているのか。 わたしには、わからない。
会いたいという思いがないと言ったら、嘘。 だけど、以前ほどその思いに強さはない。 ただ、哀しいだけ。 郷愁の思いというものに、ちょっと似ているかもしれない。
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