下田直子の刺繍図案 下田 直子 文化出版局 2004-12
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特に表紙の写真にもなっている作品。
無地の布に、チェーンステッチで沢山の丸を刺しただけなのですが、
形といい、色合いといい、その連なり方といい、何とも言えない。
なにも目新しいステッチや奇抜な手法を用いているわけではないのに
すごく新鮮なのは何故だろう。これが下田直子ワールド。。。
写真だとよく分からないけれど、実物を間近まで目を近づけて見ると
そのステッチの重なり方にも非常に気が配られていてビックリ。
どの円にも、他の円の下と上を通った箇所があるのです。
つまり、一番最初に刺し始めた円は、普通なら一番下になってしまって
他の円との重なりは全て下側になると思うのですが、それがない。
それって、隣どおしの複数の円のステッチを同時進行させて刺さないと
出来ないんじゃないかと思うのです。実は結構手が込んでいる。
他にも、フレンチノット+αの単純なフランス刺繍のステッチを使って、
紺地の布に江戸小紋の模様を表現した作品も素晴らしかった。
刺繍図案というくらいなので、作品に仕立てられたものは少ない中、
赤い革の取っ手のバックが私の心をググーッと鷲づかみ。
あの会場内で1つだけ好きなものを選んで買うことが出来るなら、
私はあの赤い取っ手のバックが良かった。
下田さんのサイトでは、著書に掲載された作品(一部)の材料などを
通販している。もし、そこでこのバックの材料が販売されたら、
きっと買ってしまうだろうな。(苦笑)
さて、予想していたこととはいえ、下田作品に完全にノックアウトされ、
山積みになって販売されていた新刊を迷わず購入した私。
それと、バック用の取っ手で珍しいタイプを幾つか、お買い上げ。
下田作品を作り上げるのは至難の業だけど、いつか挑戦してみたい。
購入後、会場にいらしたご本人にサインをお願いしました。
実は、作品を生で見ることと、ご本人にお会いして新刊にサインして
いただくのが今回のお目当てでした。いやー、もうファンなので。(笑)
もちろん、快くサインしてくださいました。う・・・嬉しい。
ハスキーで落ち着いた感じの下田直子さんの声、カッコ良かった。
今も頭の中で、あの声のトーンが響いています。
私も、ああいう声色がいいなぁ。
オープンから1時間ほど経った頃、ようやっと会場内が落ち着きを
取り戻してきたので、過去の作品もゆっくり拝見しました。
嬉しかったのは、実物を手に取って触れて見ることが出来たこと。
売約済みのバックの値札には赤くて丸いシールが貼ってあって、
「いいなぁ」と思った殆どのバックには赤いシールが付いていたけど、
買えないと分かってはいても、手に持った姿を、そばにあった姿見で
見るのだけでも、すごくすごーく楽しかった。
いつも本の写真でしか見たことのなかった沢山の憧れのバックが、
今は自分の目の前に3次元の姿で登場して、実際に自分が持つと
どんな感じになるのかが見られるなんて!
人の少なくなった会場で、束の間の一人ファッションショー(笑)をして
もうそれだけで心が嬉しい気持ちで一杯になって会場を出ました。
下田さんにお聞きしたいこと、沢山あったけれど、聞けなかった。
でも、作品から感じたことが沢山!
やはり生で見て、できれば実際に触れることって大事ですね。
あー、もう幸せ!
DEE'S HALL を出た後、かなり遅めのランチを。
たまたま近くを通りがかって見つけた「DES PRES CAFE」で。
心も体も満たされてお店を出ると、もう15時過ぎ。
少しだけ迷ったけれど、そのまま表参道の駅に向かい、途中で少しだけ
街の写真を撮って、電車に乗って帰途につきました。
本当は、せっかく青山まで出て来たんだし、滅多に出て来れないし、
あっちもこっちも行きたい所は沢山あったのですが。(笑)
時間が限られているから仕方がないという気持ちより、
下田直子さんの個展で予想以上にすっかり満足してしまい、
心がお腹一杯になってしまった気分。
「この幸せな気分のまま家に帰りたい」と思ってしまったのでした。
なんというか、欲張って他にも寄り道をしてしまったりなんかしたら、
この嬉しくて楽しくて暖かい気持ちがかき消されてしまいそうで。
帰りの電車の中では、買ったばかりの本を眺めてしまいました。
帰ってきてからも、手にとって眺めています。
また大好きな本が1冊増えました。
この本は、きっとどんなに本を整理して捨てていったとしても、
最後の方まで残るでしょう。私にとって、そんな一冊です。
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