東京地裁,お茶,『素材屋』,『Denny's』,『なすび』 |
覚醒剤使用で起訴された知人の初公判。 10時からだが最近私の稼動は常に午後なので、起きられるか不安だった。何とか10時半着。
知人は証言台に立って質問に答えていた。 警察の嘘の発表を報道されたことにショックを受けていた知人が、裁判でもルーティンでいい加減なことをやられたり、裁判官が寝たり(結構あるらしい)、知人が一生懸命書いた書面を「ふんふん、あっそう」なんてやられたら腹立つなあと、心配だった。
知人を応援する気持ちもあるが、裁判をしっかり見てないと、たいした事案じゃない、と手を抜いたり、派手な業界や覚醒剤犯への偏見に満ちていたりするのではないかと、不安だった。
案の定まだ若い裁判官は「私は2年前にもあなたが働いていた会社の覚醒剤の案件を担当しました。あなたのケースととても似ている。これだけ短い間に2人もいるということは、会社に問題があるのではないですか」などと言い、知人は「全く個人の問題で、他の社員は真面目に熱心に仕事をしている。私のせいで会社がそのように見られるのは本当に申し訳ない」と答える。
じゃあ、警察はどうなんだよ!と返したくなる私。
執行猶予は確実だと思っていたが、最後に判決が言い渡され、1日で終わるのかと驚く。 子供が何人も傍聴していたのも「親戚?」と驚いたが、社会科見学とのことだった。
公判中に私を見つけて会釈してくれた被告人Hさん、執行猶予3年の身となりご挨拶。 Hさんの友人Kさんも判決には間に合ったとのこと。
Hさんのお父様と元の会社の人も一緒に地下の喫茶店でお茶。Hさんはホッとした様子だった。 これからが大変だが。でも支える家族も応援する人もいっぱいいるようで、心強いのではないかと思う。
日比谷に出てHさんとKさんとKさんの息子と4人で『素材屋』のランチ。 Kさんの息子は昆虫図鑑に夢中。それを見せられながらのご飯。
古い友人なので打ち解けた話いろいろ。 裁判ではあまり触れなかったらしい「きっかけ」とか「のめりこんでいく様」についても聞く。
今後の断薬プログラムの話。迷ったけれど言ってしまう。 「こんな時にこんなこと言ったらいけないのかもしれないけど、私は何も迷惑かけられてないですから。クスリはやめた方が良いけど、やめられなくても、私はいいです。元気なら。違法だし、やめると決めたんだから応援しますけど、そんなに覚醒剤が好きならしょうがないかなあとも思うんですよ。」 なんて事を言うんだ!と思われるかと不安だった。しかしHさんは「ホッとする」と言ってくれた。
Hさんは私の知らない世界を知っている。 でも「Hさんはあっち側の人、私はこっち側の人」ではない。 いろいろな人に助けられた、とHさん。 「明日は我が身ですから。私が困ったらHさんも助けて下さいね」 「助けるよ」 ニッコリ。
「Hさん、恋人は?」 「いない」 意外だった。もてないはずはない人だ。 「ずっと?彼女がいたら違ってたかもしれないですね」 「俺は覚醒剤と結婚しちゃったんだねぇ」 いやー!悲し過ぎる!Hさんをぎゅーっと抱き締めたい衝動に駆られる。 Kさんと子供がいなければ抱きついていたかもしれない。 これは恋愛感情ではなく母性的なものだと思うが。
また仲間みんなで集まろう、と言って別れる。
仲間の中には病気で大変な人もいる。
15日、宮崎学さんの還暦祝いから帰ったら仲間の一人Nさんからメールが届いていた。 病気が再発したという。
> びびりました。へこみました。厄介な病気です。 (略) > Hも私も人生の大きな節目。 > 私は、私はとにかく娘が大きくなるまで生きる。 > その一心で治療も乗り越えるよ。 > 生きて、またみんなで生きる楽しさかみしめながら > 会いたいし。
30歳までに死ぬだろう、と思っていた宮崎さんは還暦を迎える。 Nさんは娘を残して死ねない、と言う。自分のことで精一杯だろうにHさんを気遣うNさん。 Hさんは退路を断って断薬を決意した。
皆それぞれ大変で、皆頑張っている。 メールを読んだ時は泣いた。しかし返信を書くうちに私も闘うモードになってきた。 私は何と闘っているわけでもないが、大好きな人たちを応援する。
14時半頃から『Denny's』でお仕事。近くで打合せがあったらしい宮崎学さんが寄ってくれる。 禁煙席なので10分もいなかったと思うが、「仕事しとるな。よしよし」と言ってコーヒー10杯分ぐらいのお金を置いていって下さる。
夕方会社に戻って作業続行。21時過ぎまで。 帰る途中で、ささきもと子さんからメール。 おお、今日はもと子さんと『なすび』で待ち合わせをしていたのだった。慌てて目白。
もと子さんは、『なすび』のお客さんでワサビの会社の偉い人に「ワサビ」作品を随分前に頼まれていた。 この度漸く納品したとのことで、『なすび』に報告がてら飲みましょう、と言われていた。 発注したワサビの会社がギャラを弾んでくれたのか、何もしていない私に、もと子さんがご馳走してくれる。
今日は作品は見られなかったのだが、ワサビのボコボコ感がもと子さんの紐アートでどのように表現されたのか、興味津々。
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2005年10月17日(月)
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