『池林房』,舞台『天保十二年のシェイクスピア』,『MILLIBAR』


 三上治さんに「宮崎(学さん)も来るから」と誘われて『ボタンヌ小林明子ママを偲ぶ会』。
私は『ボタンヌ』という店に一回も行ったことがないし、ママにも面識がないのだが。
そんなことは「まあいいよ。来いよ」と気にしない三上さん。
新宿の帝王・加納貢さんの一周忌も兼ねているとのことだが、私は加納さんにも会ったことがない。

私の本日のメインイベントは『天保十二年のシェイクスピア』デートなので、準備がいろいろあったり、昨日商売道具を檸檬屋に忘れて取りに行ったりして、偲ぶ会は16時からだが17時ごろ『池林房』に着く。

誰かが長ーいスピーチをしていて宮崎さんが「長い!」と叫ぶ。
私も全く知らない人の話なので宮崎さんが紹介してくれた方に名刺を渡したりしていた。
私の名刺を見た宮崎さん、「やくざの名刺みたいだなあ」。
「これ、母が書いたんです」
「ほほう」と笑う宮崎さん。

一人で延々喋っていた人が宮崎さんにスピーチを振ると「いやだよ。いいよ。お前に言われて出て行きたくない」。
他の人がマイクを持って「宮崎学さん、お願いします」と言ったら「ハイハイー」。
面白いなあ、宮崎さん。
そして第一声が「こういう場で長々話をすることほど無粋なことはありません」。がははは!

『池林房』のつまみは美味しかった。
しかしカツオのたたきを食べたら、ニンニクが入っていて、失敗。これからデートなのに!

 スピーチを終えた宮崎さんが帰って、私も『池林房』を出る。ワクワク。
私は基本的にいつ死んでもいいと思っているが、今日このデートが終わるまでは生きていたい。

劇場前で彼に会う。数ヶ月ぶりに見る彼は、やっぱりかっこいいんですけど!
チケットを受け取り、劇場に入る。極上シートじゃないですか!
もうホントに死んでもいいぐらい。でも、今日が終わってからね。

期待の舞台は、素晴らしかった。藤原竜也だけではない。何もかもが完璧。
目にするもの耳にするもの、全てエネルギッシュで面白くて猥雑で美しくてエロティックで堪らない。
予想と全然違うタイプの舞台で、想像を遥かに越えていた。
シェイクスピアに、蜷川幸雄に、井上ひさしに、全ての役者・関係者に感謝!という感じ。

彼は篠原涼子のファンだという。
私は豪華キャストの中になんで篠原涼子?と思っていたのだが、申し訳ありませんでした、と認識を改める。
すごい頑張っていたし、すごく良かった。

通路から3番目の席で、ラストに藤原竜也が客席を駆け抜けた時、私との距離は2mはなかったはず。
あの笑顔、もう最高!

もう一回見たい。しかし、他の舞台では主役級のメンバー勢揃いの再演は恐らくないだろう。
良かった。極上シートで、彼と一緒に見られて。
「すごいですね、桜井さん、絶対外さないですよね。桜井さんは間違いないです」
などと言われて、至上の喜び。幸せ。

私はパンフレットの類はほとんど買わないのだが、彼がプレゼントしてくれる。嬉しい!

 『MILLIBAR』に行く。混んでいた。
貸切パーティーが間もなく終わるところで、隅っこの席に入れてもらう。

今日が終わるまでは死にたくない。今日を終わらせないために終電は考えない。
相手が考えていたら別だが。
前回もいろいろ話はしたけれど、緊張したし、聞きたいこと言いたいことの半分も言えず。
今回は「積極的に行こう」と決めていた。

そして彼の恋人の存在を知る。
あーーーそうなんだ。そうですか。そうでしょうねえ、素敵な人なんだから。
しかし不思議なもので、私はこれで一気にリラックス。なんだか余計なことまでペラペラと。
「目の前に藤原竜也、隣になんとかさん、どっちを見たらいいのか?ぐらいなんですけど」とか。

ギネス君の事まで話してしまう。
「ナンパされた人に『彼はいるの?』って聞かれて『狙っている人はいる』って答えたんだけど、それはなんとかさんのことだったの。で、その人と仲良くなって『狙ってた人は忘れられた?』って聞かれたんだけど、忘れなきゃいけないようなこと何にもないですねー」とか。

彼が、ラッキー続きの私に買うことを薦めてくれた宝くじの話。
「当ったらどうします?」と聞かれて
「結婚して」
「何買います?」
「なんとかさん!なんとかさんを買う!」
「俺はねえ……」
わははは。気持ちがいいくらい、全く相手にされてない。

そしていろいろいろいろ話をして始発。ああ、今日が終わってしまう。

28日のヨシアキのライヴで最後の曲(だっけ?)は「日が暮れる、もうすぐ一日が終わる。そして人生は続く」と詠まれたが、私の中では、一日は眠りに着くまで終わらない。
そして人生は続かない。次の瞬間に終わってしまう、ぶった切られるかもしれないものなのだ。

電車の中で、彼が手を出し「じゃあまた」と握手をして別れる。

宮崎さん、藤原竜也、彼、いい男三昧の長い幸せな一日が、終わった。
ムフフ。生きてて良かった!
2005年10月01日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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