池袋演劇祭審査員だけど,『SWING PARTY Stompin' at the Sunshine』


 この週末は池袋演劇祭審査員として指定されている舞台と、8月19日のCM大会でもらった招待券で3本の舞台を見るつもりだった。

しかし、「マタイの国に忽然と現れ、女王ヒミコの…(略)古代ギリシャ悲劇を模して描く一大叙事詩」なのにパンフレットの写真が普段着っぽいとか、「病院を舞台にしたきゅんと切ないハイセンスコメディ」とか、「名もない歌手デニーは歌っていた。そこへ歌の好きなジェニーが現れた…」とか、全く見る気がしないような、見なくてもわかるようなものばかり。

どれも無料だが、たとえお金をもらっても、できれば見たくない。やめる。
本当に見たいものを見るだけでも時間が足りないのだから。

 夜はサンシャイン60展望台に出掛ける。生憎の雨で夜景も見えず。
106人のイラストレーターによる「わたしのヒーロー、ヒロイン」展をやっている。
これだけのイラストレーターがいて、年代も広そうなのに、何故勝新が或いは座頭市がいないのか。不思議だ。

 私の目的はこの展覧会ではなく、いつもイベント案内をくれるアモーレ・ヒロスケさんのライブ&ダンスイベント『SWING PARTY Stompin' at the Sunshine』だった。
アモーレ・ヒロスケさんはDJでありリンディー・ダンサーでありイラストレーターでもある多才な人。

通常展望台入場料620円のところ、ビールとおつまみ2品もついて1,000円というサンセット入場券を購入。
イベント会場と離れた売店で、「おつまみは時間がかかります」と言われて随分待たされる。
混んでいるわけでもなく、フライドチキンと枝豆に、なんでこんなに?とキッチンを覗きたくなるぐらい。
セット券だから「じゃあやめます」とも言えず。
時間がかかるなら、入口の券売場で教えてくれよ。

ジャイヴバンド『ボガルサ』のライブで皆が踊っているのを見ながら枝豆とフライドチキンをバクバク食べる。
ビールを飲み終わっても、私は踊れない。
音楽を聴いてペアダンスでクルクル回っている人たちを眺める。

窓の外は真っ白。晴れていたら夜景がきれいなんだろう。
ダンスフロアを背にして東京ドームがあるらしき方向を眺めていたら
「何も見えないですね」と話しかけられる。
言われるまで気がつかなかったのだが、さっきまでステージにいたバンドマンだった。
「ステージから見てました」と言われる。
やば。おつまみにがっついていたのを見られたか。と思ったら、なんだか絶賛される。

髪型も、『ジュンヤワタナベ』のグリーンの上着に『TEREZA SANTOS』(ブラジル)のスカートの格好も大変褒められる。
靴は雨の日仕様だが。「いや、素敵素敵」とバンドマン。

イベントも終わりに近づく。
「ちょっと踊ってみます?」
「いや、私は駄目です」
「平気平気。ゆっくりで大丈夫」
ステップも知ってて踊りなれた人たちとは全く違う私たち。

銀座のクラブでのアルバイトを思い出す。嫌いだったなー、ダンス。
好きでもない人と接近して手を繋いで腰に手を回されるのは気持ちのいいものではない。

今日は腰の辺りが少し露出しているので直接手が触れて、緊張した。
典型的大和撫子の私は挨拶のハグも、頬ずりも苦手。
押しの強い人には弱くて踊ってしまったが、やっぱりペアダンスは無理だ。

しかし、踊れないし一人だし、なところ話しかけてもらったのは楽しかった。
名刺をもらって、アモーレ・ヒロスケさんに挨拶をして、帰る。

 『OASIS』でラムを一杯。一人で飲みながら考える。
なんで私が興味がある人は私に興味がなくて、私に興味がある人に私は興味がないのだろう。

話しかけて、私を絶賛してくれる人は何故藤原竜也でも矢沢永吉でもないんだ?
それは当然にしても話しかけられた途端に私の目もハートマーク、恋の炎が燃え上がり…なんてことはないものかなあ。

しかし、バンドマンの積極性、押しの強さは見習わなくちゃ。
迷ったけれど、お礼メールを送る。
2005年09月24日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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