激怒,注意,檸檬屋新宿

 昼休みにジャーナリズム講座のHさんから電話がかかってくる。
「次の仕事に必要な本が手に入らないんだよ」
「私持ってる」
「何処で手に入れたの?」
「家にあるの」
「それってすごくない?コピーさせてよ」
「……あのねえ、人のこと『非協力的』とか言っといて、冗談じゃないよ!」
「それは、違う話でしょ。その話は置いといて、この仕事は冷静に感情抜きでやろうよ」
「置いておかない。置けない。人間なんだから感情抜きでは出来ない」
「そんなこと言うなら、この仕事は無理だよ。出来ない」
「出来ないならやめな。私はやるから、出来ないあなたが断ればいい」
「そんなに怒ってんの?」
「当たり前でしょう!」
「……。じゃあ無理じゃんか」
「『非協力的』という言葉を取り消しなさいよ。その上で一緒にやりましょうって言えないの」
「わかりました。取り消します。一緒にやりましょう」
「よし」
ということで、後は相談に乗って差し上げる。私って本当に優しい。
久し振りに怒り狂ったけど。

 昨日の飲み会でUさんに「桜井さんの私用電話、皆聞いてるで」と言われたので
「また聞き耳立てちゃいました?」と聞いたら
「昼休みだからいいけど、勤務時間中は部屋の外でやってな」と注意されてしまう。

 毎週金曜日は午後一番でミーティング。なんとUさんが出向を解かれ、異動とのこと。
「僕が言ってもあまり説得力がないですが、遅刻はせんように。勤務時間中の私用電話は部屋の外で。このチームは他より年齢層が高いんだから、そんな基本的なことは言われんようにして下さい」と置き土産に会議でも注意される。とほほ。

私を面接して採用してくれたのはUさんだし、矢沢永吉ファン仲間としては、異動は寂しい。

 2ヵ月半ぶりに檸檬屋新宿。
常連のYさんと、電脳キツネ目組のコウモリMさんと大きいMさんにも久し振りに会う。
編集者のコウモリMさんに例の編集後記を見てもらう。
「いいじゃない。これがなんで問題なの?」
「でしょー!」
Yさんは私の日記を読んでくれているので、今日の電話のことも含めてみんなにぶちまける。
「なんだそいつは、そのHをここに呼べ」と言ってくれる。

大きいMさんは寅さんの真似で「でもな、さくら。そんな奴を相手に怒ったんじゃお前さんも同じレベルになっちまうよ」。
「同じレベルなのよ、お兄ちゃん。同じ年で、受講生で、別にどっちが上でもない。だからむかつくのよ」
なんて言ってるMさんと私も同じ年。

 そして、20:30過ぎに宮崎学さんが見える。
宮崎さんもかなり久し振りの檸檬屋じゃないだろうか。
私も宮崎さんとゆっくりお話するのは、アウトロー・ジャパンの仕事以来。
次の仕事も決まっているので「よろしくお願いします」とご挨拶。やっぱり緊張する。

新しく出る本の話、北朝鮮の話など。
今度北朝鮮についての勉強会をしよう、ということになる。
大きいMさんが「会場はやっぱり『北の家族』だよな」。ハイハイ。
さて、準備をしなくては。面白そう。

住枝さんは谷中店にいて具合が悪くなったとかで来なかった。
谷中店は金曜日のみ営業しているらしい。状況は厳しく、良くなる気配もないけれど、
住枝さんがお客さんや従業員を怒鳴りちらしたり、酔って暴れたり
買い物ブギや更なる新店舗オープンの欲を出したりといった無茶苦茶なことはなくなったらしいので、細々やればよいのでは。

私としては、宮崎さんに会ってお話できるかもしれない空間が無いのは寂しい。
檸檬屋でもいいし、檸檬屋じゃなくても、そういう場があればいいと思う。
2002年10月11日(金)

抱茎亭日乗 / エムサク

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