暇女,「やらぬ仲」感想

「大地を守る会」の最終宅配日。
空き箱を出しておくのを忘れて、
玄関が段ボールと発泡スチロールの箱でいっぱいになってしまう。

13時過ぎに起きてご飯を食べようとしたところへ電話。
酔っ払った檸檬屋の住枝さんが唸っている。「うー、そば食べんか」
「今起きたばかりですから」
「1時間で来い。化粧なんてせんでいいから!」
檸檬屋に2泊している男の子と飲んで待っているという。

先日後藤一喜さんに1週間に4回檸檬屋に来ている「暇女」と言われ、
こんなことではいけないと思ったのだが、2時半には檸檬屋。

住枝さんお薦めのそば屋、割烹はやっていなくて、寿司屋。
住枝さんは、昨日来て朝8時までいたという女性客にも電話をかけて「すぐ来い」。
しかし暇女は私だけのよう。

ご馳走になってしまい、両手を広げて抱擁を求める住枝さんを振りきって17時に帰る。
今日も大掃除できず。

大学のゼミ仲間N君からメール。
先日檸檬屋で会った男性が彼の元上司と判明し、久しぶりにメールを書いた。
その返信で「やらぬ仲」の丁寧な感想をくれた。感激。

> 「やらぬ仲」は正直、そこで桜井が何を書こうとしたのかが私には分かりません
> でした。「ファンタジー」を標榜するにしては、中身に仕掛けがなく、単に時系
> 列を追っているだけだし、プロットも相当雑だと感じました。また、削ったほう
> が文章が生きると思う部分も多々ありました。特に、いわゆる「気の利いた表
> 現」は不要なものが多いと思います。
>
> 光っていると思ったのは、宇佐美の血まみれのスーツを見る場面です。宇佐美が
> 取り出してきてから、「捨てられない」と言う部分まで、この、私の画面上では
> 9行は経験したものでないと書けない凄みを感じました。ただ実際は、小説の構
> 成上この9行が他の部分と特に関係ないように感じられるのが致命的だと思いま
> す。時系列を追って、ある意味淡々とエピソードを重ねていく、という手法はア
> リだと思っていますが、その世界に読者を引き込むためには文章にもっと繊細
> さ、滑らかさが必要でしょう。それが感じられないことが、私には「急いで書い
> た雑な文章」に見えてしまうところです。
>
> テクニック的にいくつか気づいた点があります。
> ■小説の書き出しはあれではつまらない。文化センターの自分史講座を受けたお
> ばさんが書いている文章の書き出しのようです。
> ■冒頭部分で「自分が過去を振り返っている」スタンスをとっているけれど、自
> 意識が強く出すぎている。それはエッセイでしか使えないと思う。もっと早く作
> 家の影を消したほうがいいのでは。
> ■タイトルについて、言葉の持つ「品のなさ」よりも、その言葉をタイトルにつ
> けて自らの価値観をにじませようという「品のなさ」を強く感じます。
>
> 否定的な感想がほとんどになってしまいましたが、持ち上げるよりは、きっとい
> いだろうと思って、あえて書きました。ただ、応援していることだけは間違いな
> いし、はっとする文章が書けない人だとも思っていません。個人的には小説より
> も、実生活での腹立ちものの方が面白いと感じています。

さすが、全てお見通しだ。有り難いアドバイス。
それにしてもゼミ仲間はみんないい人たちだ。
N君は今札幌で、酷く寒いだろうが私の心は温まった。
2001年12月30日(日)

抱茎亭日乗 / エムサク

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