関西突破塾,帰らず

前回突破塾のとき岡山の男性が貸してくれた、
俵万智「あなたと読む恋の歌百首」を読みながら新幹線。

観覧車回れよ回れ思ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ) 栗木京子

俵万智が教えていた女子高校生に圧倒的な人気だったという歌。
けっ、て感じなのになぜか落涙。
親戚に歌人が何人かいるから、我も歌心があるのかな。

関西突破塾、第2クール序章ということで芦原橋駅浪速人権文化センターへ。
「もうひとつの大阪〜「部落」の街・人・歴史を「知る」〜」
講師は部落解放同盟浪速支部 渡邊実・浅居明彦氏。

スライドを観ながら、お話は渡邊さんのボケと浅居さんのツッコミで進む。
浪速部落には竹や皮細工、火消しの歴史がある。
国の制度に先駆けて自分達で学校や病院、市民会館を作って運営してきた。
貧しいとか被差別というマイナスイメージとは別の豊かな文化は
なかなかマスコミには取り上げられない。

国の重要文化財である大きな太鼓、綱貫沓(つなぬきくつ)という皮製の靴、
雪駄などがこの街で作られ、今も「部落の技」として生きている。

行政のとってきた差別について話すとき、渡邊さんは何度も「怒り心頭です」と言った。
そして「運動が大好きです」と言う渡邊さん。
部落解放運動は「世の中のおかしい事は『おかしい』と言う」ことをやってきた。
部落も障害も老いも個性、個性で受ける不利益を取り払っていこう。
地域を愛せよ、人を愛せよ、地球を愛せよ。

私は小学校で同和教育を受けた。狭山事件を知っていたが、
私の住んでいた地域に同和問題は無かったと思う。
「被差別部落があると教育することで差別が生まれるのでは」
「差別はいけないと教育しても差別はなくならないのでは」
という疑問は私もずっと持っていた。

浅居さんは差別が無かったことにされるのは嫌だと言う。
「かつて部落差別という歴史があった」と言える世の中にしたい。
「部落に生まれてよかった」と誇りを持って言いたい。

成る程。しかしなんでこれが報道しにくいのか、わからない。
それこそ「みんなでやれば怖くない」じゃないか?

2次会は渡邊さんが毎日お昼に行くという「岳」。
特製の「さいごし」という馬肉の燻製、あぶらかすのスープ、煮こごりなど。
焼きそばの味付けも美味しい。

渡邊さんが作った太鼓を見せて下さる。
「私は運動してなかったら、こうして皆さんとお話することも無い、ただのおっちゃんですから」
「そんなこと(ないですよ)」
などと言ってたのに3次会では、渡邊さんとどつき合いになる。

「女の子が靴を脱ぎ散らかしたら、そっと揃えるのが男や」と渡邊さん。
「揃えなさいって言えばいいじゃない」と私。
「あほかあ!」
「何でよ!」
「あのなあ、女の子が運動に参加されへんのは、女の子が悪いのと違う。
男がその女の子の状況、苦しみを理解せなあかんのや!」
「一人で苦しまないで話して欲しい」
「おまえの愛はうっすい!カスじゃ!」
「キィーッ!」
やっぱりただのおっちゃんかも。いや、ご馳走になったのでそんなことは言わない。
有難うございました。大変楽しかったです。本当です。

Mさんの案内で次の店。アメリカっぽいバーに10人ぐらいで。
3時過ぎに店を出る。これ以上お金を使いたくない私とN君とI君3人は街を彷徨う。
前回の教訓が活かされず、同じように「どうしよう」。

JRの駅まで歩こうと決め、3人で歩けど歩けど着かない。方向逆だった。引き返す。
新大阪駅で走る。6:00発ひかりに何とか間に合った。
毎回濃いな、突破塾は。
2001年09月22日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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