2002年12月23日(月) |
フライパンのスパゲッティ |
夜が深くまる直前に目覚める彼。 カウンターに座る、自ら望んで孤独を持った 女性の話にただ静かに笑いながら頷く。 作ったこともないスパゲッティも作らなければならない。 分量を間違えて必要以上に茹で上がってしまう。 始末が悪いと苦笑いしながら、五人前にもなってしまったそれを フライパンのまま出す。 量もひどいが、味もひどい。 彼はまた苦笑いして、スプモーニを口に運ぶ。 それから、この場所に馴染むために両手を何度か握ってみる。 あたしは夜が深まってから、雪の多い街と フライパンのまま出された大量のスパゲッティの夢を見る。 カナリアの唄は記憶から引き剥がされないための 唯一の手段。
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