世の中、嫌な上司ってのはいるもので。
俺も4年間苦しんだ。
ホント、毎日辞めようと思った。
日勤で出勤する前に勤務表を見て、今日は上司がいるかいないか確認してから行ったもんだ。
日勤でいると必ず用を言いつけられる。
内容はどうでもいいような内容。
そんなの自分でやれよ、っていう内容がほとんど。
それは俺がやらなきゃダメなの?他の人で十分できるでしょ?っていう。
もう勘弁してくれよって。
俺を補佐から降ろせよって、その度に思った。
こいつの言い方が嫌だった。
頭ごなし。上から目線。
命令されるのが大嫌いな俺は、ホントに耐えられなかった。
周りから
『相坂くん、大変だね』
なんて言われたけど
『あー、いや別に。』
って返した。理解してないと思ったから。
言葉だけの、心がこもってねえ慰めなんかいらねえ。
俺の苦しみをお前ら分かるのかよ!?って。
分かるわけがない。だって他人だもん。
分からないんだから、俺の本音を言う必要もないし話したくない。
だから本気で落ち込む事は家だけ。
職場では見せなかった。
ホントに辛かった。
入社した時の、あの楽しい気持ちは忘れてた。
『新聞のお悔やみ、毎日見とけよ。俺の名前載るかも知れないから。』
『なんでですかー(笑)』
冗談ぽく言ってたけど、半分本気だった。
辞めるか死ぬか、そこまで追い詰められた。
『くそ、冗談じゃねえぞ。』
誰ともなく言うのが、いつの間にか口癖になっていた。
ところが転機が訪れる。
春、異動があった。
上司と入れ替わりに、以前ずっと一緒に働いてた人が昇格して戻ってくる。
自然と涙が出た。
嬉しかった。心から嬉しかった。
やっと解放される。
俺はまた俺に戻れる。
本来の自分が戻ってくる感覚を確かに覚え、俺は喜びに震えた。
ああ、そうだ。そうなんだ。
仕事が出来なくても、周りから安心されるような人間になりたい。
ただいるだけで、その場に安心感をもたらしてくれる人間。
俺はこういう人になりたいんだな・・・。
きっと、こういう事だったんだな・・・・・。
俺のあの4年間は、この事に気付かせるための4年間だったのかと・・・そう思う。
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