涼しくなってよろしい。 しかし昨日も書いた通り、危険な兆候も孕んでいるのは否定できぬ。 そんな訳で今朝もちょっと腹が痛む。
さて! 今日は五條瑛の9月新刊「ヨリックの饗宴」について語ってもよろしいですかな?
あらすじ:政党の派閥がすったもんだしたり、代議士同士でいざこざがあったり 首相が変わったり政権がどうにかなったりしますが、結局は「兄弟ってイイネ」ってことです。
かなりはしょってますが、このあらすじに偽りはないですよ、マジで。
プロローグから一章に入って数ページで「ダメなお兄さんキター!」という展開。 ホクホクしながら最後まで一気に読んでしまいました。
五條瑛のすごいところは、常に主題が日本がどうにかなってしまうような政変だとか大事件で あるにもかかわらず、最後には「愛」でハッピーエンド(なのか?)に導いてしまう豪胆な筆力 にあると思います。 毎回同じパターンであるにも関わらず、読ませてしまう力量はやはりタダモノではない。
妻子を虐待し、挙句の果てに失踪した兄、栄二。 取り残された家族がやっと新たな人生を始めようと落ち着き始めたある日、 主人公和久田耀二(弟)の前に栄二が7年ぶりに姿を現す・・・。
久々の対面となるシーン。 信号待ちの道を挟んで向かい合わせに立つ二人の描写がなんとも言えませぬ。 よくあるといえばそうなんですが、細かいポイントが非常にツボ。
そしてその後も耀二は嫌々ながらも栄二と対峙せねばならないのですが、どこを読んでも 味があります。
「男兄弟はこうあって欲しい」という腐女子の願望そのままです。
いつもながら主人公が可愛らしい性格です。 お兄さんもダメな具合が突き抜けててよろしいです。(終盤は特に)
女性の影もない訳ではないんですが、彩り程度かなぁ。 しかし女性のしたたかさやずるさを書かせると怖いですね。リアルです。
脇の人達もひと癖あって、もうちょっと続きが読みたいくらいです。
色々書くと読む時につまらなくなってしまうから、この程度にしておきますが。
蛇足ながら、タイトルや各章に付けられている人名は「ハムレット」からの引用なんですが、 シェクスピア好きなら、隠喩もピンときて面白いんだろうなと思いました。
まぁ、なんだ。 兄弟ってイイですね!
これに尽きるですたい。まずはご一読あれ。 今年も五條瑛はいい話ばかり出してくれてるなぁ。
今日は指輪DVD「二つの塔」が届くはずなので楽しみであります。
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