今日は朝起きたらダメ人間だったので、一日家から出ませんでした。
とか書くとすっごい不気味ですね。 でも実際今日は仕事を休んでだらだらしてました。 身体中が痛いんで"もしや"と思って熱を測ったら、そこそこ熱があったです。 風邪ひいてたんかな。ひょっとしたら花粉症が始まってるのかもしれんね。
昨日読んだ本をあげときます。
「光の帝国 -常野物語-/恩田陸」(集英社文庫:\495) 評価:★★★★☆ 連作で続けて欲しいっす
あらすじ:「常野(とこの)」から来たといわれる人々がいる。彼らにはそれぞれ不思議な能力があった。しかしそれらを悪用することはなく、穏やかにひっそりと世間に紛れて暮らしている。過去から現在に至る彼らの人生が描かれる連作短編集。
恩田陸の作品の中では好きなものです。 彼女は出すものがほとんどベタ誉めされるんだけど、それほど良いと思ったことはありません。 いつも中途半端だから、結末にガッカリさせられるんですね。 最近の最もガッカリ大賞は「ネバーランド」。(しかし! 今日借りてきた「ライオンハート」もかなりヤバめな感触が…) 設定は良いのに、キャラの性格がどうも合わなくて物語に入り込めなくなっちゃうのです。 「月の裏側」も"昔こういうSF読んだことあるよなぁ"とか懐かしい感じがなかなか良かったのに、終わってみれば"トホホ…"なのでした。
で、この「光の帝国」なのであります。 話自体はキライじゃありません。 常野といういかにも"遠野"を意識した地名が恥ずかしいとか。 どう考えても"北神伝綺"(大塚英志/森美夏の傑作)でしょとか。 いろいろツッコミ所が満載なのは置いといて。
短編なので、それぞれ過去の"はじまり"であったり現在とリンクしたりという分散した歴史の断片を垣間見せるという試みは、とりあえずうまくいっているといえましょう。 実際、飽きずに読み進められるという点では良いです。
常野一族は長命の者や特殊な能力(記憶力がズバ抜けていたり、音楽的センスが超人的等の超能力)故にあまり目立たないよう、そっと生きている…。 するとね、ほら、日本にはそれ系のスゴイ作品があるでしょう? "ポーの一族"という、はかないけれど色褪せることない少女漫画界の金字塔が。 筒井康隆の"七瀬三部作"も超能力モノとしては秀逸です。
小説を書く人にとって、やりにくい世界だと思います。 既に世間にはあまりにも素晴らしい先駆者がいる訳だから。 それでもなお書こうとするから、こういう人は小説家になるんでしょうね。
そのあたりに解説の久美沙織が触れていないのが、ちょっと気になります。 そして彼女は知らないのかもしれませんが、タイトルは恐らくマグリットの有名な絵画からとられているのでしょう。 「光の帝国」というその絵は、薄闇に包まれた一軒の家の扉の上に、小さな明かりがほんわりと灯っている…という幻想的なものです。 通りすがりに見かけたら思わず近寄ってノックしたくなるような、そんな暖かさがあります。きっとその扉の奥には誰かの帰りを待っている人がいるはず。
どんなに厳しい運命に翻弄されようと、常野一族が決して忘れない最後の灯火。 生まれ変わっても必ずたどり着く、彼等の場所。 そのような意味をこめてタイトルが付けられていると良いなぁと思いました。
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