無責任賛歌
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2005年01月05日(水) |
年賀状のことなど/『パディントン発4時50分』(石川森彦)ほか |
昨日のベストテンの見方が分かりにくい、というご指摘を受けたので、補足説明。 1、2、3、4、……と順位を着けたのが、私の「個人的なベスト」です。隣の☆印は、「普通の人が見たらこうじゃないかな」という「類推」なので、私自身の評価とは言えません。こういう☆をつけておかないと、1位2位の映画を「誰が見ても面白い」映画だと私がオススメしているように勘違いされてしまいかねない、と危惧したのであります。 だから、私自身の評価が高くても(個人的には好きでも)、「これを普通の人が見たらつまんないよなあ」と思える映画の☆評価は低くしてますし、私は全然つまらなくても、「でも一般の人はこういう映画見て受けるんだろうな」と想像できる作品の☆評価は高くしているわけです。前者の代表例は『盲獣VS一寸法師』で、後者の代表は『ファインディング・ニモ』だったりします。 『盲獣VS一寸法師』なんて、「江戸川乱歩の“クソつまらないところ”が大好きだ」ってヘンなファンじゃなきゃ、2時間の映画を見てる間、ただひたすら苦痛なだけでしょう。しげはこの映画見たあと、「やっぱり、おもしろくないものを無理しておもしろいように思いこもうとするのはやめた」って言ってました(-_-;)。
正月からこっち、しげがまた落ちこんでいる。 「あんたんとこに友達からメールや電話、あった?」と聞くので、「まあ、何人かからは」と答えたら急にしょげて、「オレんとこには1件もないよ。オレやっぱり友達いないんだ」とか言い出すのである。年賀状の数も少ないので、なおいっそう元気がないようである。 もともと私自身が年賀状のやり取りも「気が向いたらする」程度で、コミュニケーションのためのツールとしてはたいして重きを置いていない。というのも、実は10年くらい前までは、仕事上の理由もあって、人並に何100通と書いてはいたのだが、年末の忙しい時期に一枚一枚丁寧に宛名書きしてイラストも描いて、なんてことをしていると、年寄るごとに体力気力がまるでおっつかなくなってきたのである。かと言って全部印刷で同じものを送るような手抜きをする気にはなれなかったので、この10年くらいは、例年、受け取った人にお返しするくらいでゴマカシていた。職場関係でそれはマズイんじゃないかと最初はちょっとおっかなびっくりではあったが、こちらの体調を察して下さる方も多かったので、人間関係がその程度のことで崩れることはなかった。つか、年賀状ごときで人生が左右されてたまるか、という気分である。 メールに至っては、もともと頻繁にやりとりしてる相手自体が殆どいないので、来ないほうが自然である。しげの場合もそれは似たような状況で、「便利だから」と私に携帯を無理やり買わせたくせに、特に用事がなけりゃ、メールを送ろうともしない。職場の送り迎えの連絡を私からする方が多くて、その返事も「行く」「着いた」の一言で、味も素っ気もない。しげとメールのやり取りをした経験のある人なら先刻ご承知だろうが、およそ「メールし合う醍醐味」というものがないのだ。だいたい本人が「業務用連絡以外、する気ないし」と表明しているのである。 だからこそ、あけおめメールが来なくたって、別に気にもしちゃいないだろうと思っていたのだが、しげはどうやら、イマドキの「メールが来ないと落ちつかない」症候群に罹っちゃってたようだ。つかさー、オレ、正月からこっち、しげが「メールのやり取り」してるのを何回か目撃してるんだけど、それでどうして「メールが来ない」と言ってるのか、それがよく分からないのである。記憶力、ますます減退してるのか。
咳と頻尿と下痢が激しかったので、仕事初めではあったが、午前中で帰宅。 しげもカラダを壊していて、今日は送りも迎えもしてもらえなかった。夫婦揃って、半日寝込んで過ごす。 食事は帰りに買ってきたコンビニ弁当。和風幕の内とヒレカツを買ってきて、「どっちがいい?」としげに聞いたのだが、迷わずヒレカツを選んだ。だからどうしてそう、「肉」に執着するかな(-_-;)。 しげがカラダを壊しがちなのは、食生活の杜撰さを初めとして、生活のリズムが乱れているのが理由なのは分かっている。栄養バランスの取れた食事、適度な運動など、改善の手段はいくらでもあるのに、「ただひたすら寝る」ことだけで凌ごうとしているから、体調が悪化することはあっても好転するわきゃない。 そのくせ、しげは私の屁が臭いと言って、「肉食うな、野菜食え」と言うのだ。だからさあ、どうして肉しか食わない自分の屁が臭くないと思えるのかね。私は寝ている間、しげの寝屁の被害にあって死にそうな目に会ったことが幾度となくあるのだが。 しげは「家事もして、病院にも通って、仕事もしてたらカラダが持たないよ」としょっちゅう愚痴を言っているのだが、ちゃんと通ってるのは病院くらいで、家事は殆どしないし仕事もよく休んでいる。そんな状況で「疲れた疲れた」と言われても、「身のほど知らずが何を言うか」と返すしかないのである。文句言いたいなら野菜と果物食って日光に当たってから言え。
DVDを続けて3本、『ミス・マープル パディントン発4時50分』『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード』『ハーヴェイ』。脈絡は全くない。
ジョーン・ヒックソン主演版の『パディントン』はかなり前に購入していて未見のままだった(テレビ放送時に見てはいる)。改めて見る気になったのは、先日買ったコミック版の『NHKアニメ劇場 アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル2 パディントン発4時50分』(石川森彦)を読んで、原作とちょっと違っているところがあったような気がしていたので、テレビ実写版で確認してみようと思ったのだ。だったら原作小説を読みゃいいのだが、それは山のに中に沈んでしまっていたので、仕方がないのである(いつものことですいません)。 結論から言うと、コミック版の方は、第1巻の『ABC殺人事件』がへなちょこな出来でガックリだったのに比べて、かなり手慣れた描きぶりになっていて、読みやすかった。実写版よりもコミック版のほうが犯人のトリックの描写としては「偶然に頼っていない」点で明らかに優れている。石川さんの絵がチト地味でマンガとしての魅力に欠ける面はあるが、少なくともアニメのように「アヒル」を出してない分、良心的な執筆姿勢だと言えるだろう。原作で重要な役割を示す家政婦・ルーシー・アイレスバロウを、アニメオリジナルキャラのメイベル・ウェストに置き換えたアレンジも悪くない。 じゃあ、テレビ版がダメかというとそこまでのことはない。ジョーン・ヒックソンのミス・マープルはもちろんのこと、役者がそれぞれの役を的確に演じていて飽きさせない。原作を先に読んでいるので犯人もトリックも先刻承知なのだが、それでも「ああ、このへんはうまく演じてるなあ」と感心する部分があった。 スラック警部を演じたデヴィッド・ホロビッチは日本では馴染みがないが、実に上手い。『書斎の死体』に続いての出演だが、「何でこんな婆さんに捜査を引っ掻き回されなきゃならんのか」と苦虫を潰した表情が「かわいらしい」のである。名探偵の引き立て役の警部は単に馬鹿じゃダメなんで、これは理想的なワトソン役の一人と言えるだろう。
『ヤキニクロード』と『ハーヴェイ』はどちらも再見。『ヤキニク』は感想書き出したら長くなるので、省略。 『ハーヴェイ』を初めて見たのはもう十年くらい前になると思うけれども、原作が舞台なだけに、この「仕掛け」はいかにも舞台向きだ。それは「主人公にしか見えない身長6フィートのウサギ」を相手にマイム演技をする面白さだけにあるのではなく、そのウサギか果たして本当に実在するのか否か、そこを曖昧にしているのがミソなのである。不世出のパントマイマー、マルセル・マルソーは、自らの演技で「そこにあるように見えるもの」を瞬時にして別のものに「変えて」見せるが、本作の主役、ジェームズ・スチュアートは、映画的「仕掛け」で「ハーヴェイ」を空想の産物から実在のものへと変換させる。方法は違うが、「現実と空想の境界を反転させ、観客の固定観念を破壊する」ことに演劇の本質を見ている点では同質である。 このネタは演劇人なら1回は使ってみたくなるのだが、実は私も昔ある芝居で応用して使っている。つか、使った時には『ハーヴェイ』が元ネタだとは気付かなかったのだが(だって当時はまだこの映画を見たことなかった)、あとで「あ! この映画、オレの書いたアレと同じじゃん!」と驚いたのである。 マネをしたわけではないが、演技の基本が「マイム」にある点を踏まえて、そこに「応用」を持ちこむとと、どうしても似通ったアイデアになっちゃうのである。そのとき自分の書いた脚本が面白かったかどうか、という点であるが、「不思議な雰囲気が面白かった」というお褒めの言葉を頂きはした。つか、私の書く芝居は自分ではどんなにエンタテインメントにしたつもりでいても、いつだって「不思議」ないしは「よく分からない」って言われちゃうんだよね。それは先日の公演もそうで、ギャグと歌で繋いだだけの芝居のつもりだつたのに、アンケートではやっぱり「不思議」ないしは「よく分らない」と言われちゃってたのである(^_^;)。
2003年01月05日(日) インド人にビックリ/『膨張する事件』(とり・みき)/『バンパイヤ/ロックの巻/バンパイヤ革命の巻』(完結/手塚治虫)ほか 2002年01月05日(土) 食って寝て食って歌って/ドラマ『エスパー魔美』第1話/『ピグマリオ』7巻(和田慎二) 2001年01月05日(金) やっぱウチはカカア天下か
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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