無責任賛歌
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2003年06月28日(土) |
ちくしょう、目医者ばかりではないか/北村薫サイン会/『とんち探偵一休さん 謎解き道中』(鯨統一郎)ほか |
目の中のぶら下がった輪っか、ふと、これってあの「玩具の輪っか入れ」に似てるなあ、と思った。名前が何ていうのか知らないけど、透明なガラスケースの中に水を満たされてて、中央には棒が立っている。で、棒の周辺には小さな輪っかが散らばってるんだけれど、ボタンを押すと水圧で輪っかがふわっと浮く。 ボタンの押し加減で、輪の浮かび方が変化するので、うまく棒に入れられたらご立派、ってやつね。 ただ、私の目の中に棒はないので、この輪っか、どこかに引っ掛けとくというわけにはいかないのである。
眼科にはしげに車で送ってもらう予定だったが、何だかまた「寝つけなかった」しげは起きて来ない。これが、私の身を心配して寝つけなかった、というのなら可愛いものなのだが、もともと今日は一緒に映画に行こうと約束していたので、ドキドキしていただけであろう。
そぼ降る雨の中、バスに乗って、かかりつけの眼科まで。 ついこの間、来たばかりなので、受け付けの女性の看護師さんも、やや怪訝な顔をしている。 「あの、目の中に紐が垂れ下がっててブラブラ揺れ出したんですけれど」と説明をする。なんだかこの説明だけを聞いていると、まるで楽しいことが起こったみたいで全然切迫感がないが、何と言ったらいいのか、ほかに言い方を思いつかん。 それでは、ということで眼底検査。今日は両目とも瞳孔を開かれてしまうと、道も歩けなくなってしまうので、異状のある右目だけにしてもらう。前回も目薬の効きは悪かったが、今日も20分程度ではなかなか開かない。追加に次ぐ追加で、何だかたっぷりと目薬を差されるが、何だか目玉が浮いてきそうだ。 30分以上待たされて、ようやく主治医に観察してもらう。 こないだは書き忘れたが、この眼科医さん、メガネをかけてヒゲを生やした細面な方で、マンガ家のいしかわじゅんにちょっと似ている。ただ雰囲気はいしかわさんほど胡散臭くはないし、声もずっといい(^o^)。 またまた「右見て左見て上見て下見て」と指示されて、目をキョトキョト動かす。なんかこんな風に目がグルグル回るブリキの人形が昔あった気がするが。お眠りリカちゃんは目を閉じるだけだったかな。 「ああ、網膜が剥がれてますねえ」 「はあ」 こないだは大丈夫ですよ、とか言ってたのに、いきなりこれである。 「穴が開いてますよ」 「穴ですか」 何だか「穴」なんて言われちゃうと、眼球のてっぺんにぽっかり黒々と穴が開いてて、そこから「おーい、でてこーい」とか呼ばれそうなイメージなのだが。紐は向こうの世界にいる人が垂らしてるのだな。 「糖尿病のせいでしょうか」 「いや、これは強度の近視によるものです」 私の近視は生まれつきなので、つまりこれは母の遺伝によるものだ。母が生きてたら、自分の罪のように感じて落ちこんでたことだろう。糖尿病のせいだとこれは父の遺伝ということになる。どっちにしたって、目が悪くなる運命にあるのだな、私は(^_^;)。 主治医がいろいろ状況を説明してくれる。 近視が進行して、眼球の中の硝子体(しょうしたい)が歪み、ついには後部硝子体膜が網膜から剥がれてしまう(後部硝子体剥離)。そのときに、網膜に穴が開き(網膜裂孔)、その穴を中心に網膜が下の層から剥がれて硝子の方へ浮き出す(網膜剥離)。紐はやはり硝子体の中の「濁り」で、血管ではないそうだ。 これを放っておくと、視野が下の方から黒々と影が上ってくるように狭くなって、失明にいたるということである。 治療方法は、レーザー光線で裂孔の周囲を焼き固め(光凝固法)、それ以上の剥離への進行を予防する、とのことだが、一回見え始めたこの「濁り」はもう消えないらしい。 「とりあえず、レーザー治療をしてみようと思いますが、よろしいですか?」 よろしいも何も選択の余地はないよな。 「費用が○万円ほどかかるんですが」 あう( ̄∇ ̄ ;)。 四捨五入したらフタケタになるではないの。 イタイ、それはイタ過ぎる。 「すみません、ちょっと今日はそこまで用意してきてないんですが」 「いいですよ、月曜日にまた来てもらいますから、そのときに一緒に」 「……それはどういう……?」 「レーザー治療の効果がなかったら、入院して即手術、ということになります」 早いよ、それ(・・;)。 まだ、ホームページの更新も滞っているというのに(←そういう心配をしているところがネット依存)。 けれど、ここは「お願いします」と言うしかないのだ。 「えーと、で、どうすればいいんでしょうか、ベッドに寝れば……?」 「いえ、この機械にアゴを乗せてください」 えらく簡単である。 「痛くなったら、無理しないで言ってくださいね」 痛くなるのか(・・;)。 「ためしに一発、撃ってみますね」 「一発」に「撃つ」である。表現として間違っちゃいないんだろうが、もう少し患者の恐怖心を和らげる言い方ができないものだろうか。「一本、通す」とか「いっちょ、いってみよう」とか。ダメかな。 右目にコンタクトレンズを嵌められて、開きっぱなしにさせられたところに、パッ。 目の前が一瞬、まぶしくなっただけで、別に痛くはない。 「大丈夫でしたか?」 「うぇうぇ、ふぇうぃきどぅぇす」 別にいきなり言語中枢に障碍を起こしたわけではない。アゴを固定されてるのでこんな喋り方しかできないのだ。 安心したのか、主治医、パッパッパッパッパッ、といきなり機関銃のようにレーザーを撃ち始める。実際にえらく速いのだ。映画『河の女』で、ソフィア・ローレンが歌う主題歌「マンボ・バカン」のテンポくらいに速い。……たとえが解りにくくてすみません(^_^;)。 しかし、まぶしかっただけなのは最初の二十数発くらいまでで、六十発を越えるころには、光るたびに、ズン、ズン、ズン、ズン、ズン、と目の奥を頭蓋骨に押し当てられるような圧力を感じてくる。 「うう」 「痛いですか?」 「うう」 「痛いんですか?」 うう、としか言えないのだから、察してほしいものである。休憩を挟みながら、百発ほど撃ったところで、「これで一周しました」と主治医。 ヤレヤレ終わりか、と思ったら、「もう一周しますね」。 患者にフェイントかけるなあああ! でもやっぱり私は「うう」としか言えないのであった(T.T)。 こういうときには、無意識のうちに撃たれた数を数えているもので、結局、全部で212発。主治医の話によれば、相当大きな穴が開いていたらしい。それならなおのこと、どうして前回の検査で予測がつかなかったかな。 「なんとかくっ付きましたね。これからはあまり頭を振らないようにしてください」 「それはどういうことでしょう」 「硝子体がどうしても揺れますからね。運動の類は避けてください」 「走ったりしちゃいけないってことですか」 「そうですね」 「旅行とかは」 「2ヶ月ほどはちょっと遠慮してください」 ああ、密かに目論んでいた夏コミ目当ての東京行きがこれでオジャンである。病状が悪化したら、もう上京自体が不可能になるのだなあ。 「テレビを見たり、パソコンを使うのもダメですか」 「ものを見るのは普通にして頂いて結構です。ともかく揺らさないようにして頂ければ」 「映画館に行くのは」 「うーん……」 自分でも細かいことをシツコク聞いているなあ、とは思うが、これまで目を酷使した生き方をしてきたのだから、仕方がないのである。 ともかく頭を揺らさないこと。これが一番大事だということはわかった。 これからは後ろを振り返るときは、カラダごと動かすか。なんだかヌリカベになった気分である。
薬局で目薬をもらって時計を見たら12時半。家を出たのが10時前だったから、結構時間が経っている。右目はやはりまぶしいままなので、右目をつむってウィンクした状態で歩く。 しげとは2時に天神で待ち合わせて、映画でも見ようと話していたが、どうもこの状態では難しそうだ。とりあえずまだしげは寝ているだろうから、連絡はあとですることにして、もう一つの用件があるので、博多駅の紀伊國屋に向かう。
1時より、紀伊國屋で、東京創元社の新ミステリ雑誌、『ミステリーズ!』創刊記念として、ミステリ作家・北村薫氏をお呼びしてのサイン会。 北村さんは今回、エラリー・クイーンの国名シリーズのパスティーシュとして 『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件』という作品を新連載し始めたのである(創元社だから“Mystery”が「秘密」ではなく「謎」と訳されてるところがミソ。タイトルに関して言えば、私は「謎」のほうが訳としていいと思う)。これまでのパスティーシュの作法に則り、クイーンの未発表原稿が見つかったという設定だが、時代がフレデリック・ダネイが1980年ごろに来日したときに設定してある。既に代作すら行わず、アンソロジストとしてしか活動していなかったダネイが進作を書いていたとは設定的にムリはあるのだが、それすらもトリックに組みこんだ作品を書いてくれたら嬉しいなあ、と思う。 1時には、20人ほどの人が並んでいる。私がこないだ紀伊國屋に来たときにもらった整理券は57番だったから、もっと並んでてもいいはずなのに、みんな博多時間で集まって来ているのかな(^_^;)。店員さんから「とりあえず並んでください」と言われたので前の人の番号を聞いてみたら、27番だった。間の30人、何してる。 実はぜひこれにサインしてもらおうと、『覆面作家は二人いる』の初版単行本を持ってきていたのだが、今回はあくまで『ミステリーズ!』創刊記念ということで、それ以外の北村さんの本にはサインしないそうである。 私を含めて、慌ててレジに『ミステリーズ!』を買いに行く客が続出。そりゃ、サインしてもらうなら、雑誌より単行本と誰でも思うよなあ。ハッキリと看板に「『ミステリーズ!』のみのサイン会です」と書いていてほしかったところである。北村さんもバタバタ走りまわるファンを御覧になって、申し訳なさそうな顔をしておられた。 私なんか、もう一冊買ってたのに(T∇T)。 サインをして頂きながら、「『覆面作家』のドラマ化はいかがでしたか?」と聞いてみる。 「かわいらしくてよかったですよ」と結構気に入っていたご様子。 原作と違って、双子ネタが使えなかった点についてはあまり怒っておられないようだ。 「新シリーズはないのでしょうか」と余計なことまで聞く。私ゃそんなにあのシリーズ、好きだったかなあ。まあ、ともさかりえは舞台まで見にいったくらいだからキライではないのだが。 「もう、間が開いちゃいましたからねえ」と、新シリーズはなさそうなことを仰っていたが、北村作品はテレビシリーズよりも映画向きだと思うんだがなあ。
雨の中、天神まで地下鉄で。 しげ、待ち合わせ場所の福家書店に来ているかと思ったら、影も形もない。 携帯に連絡を入れてみたら、案の定、まだ寝ていた。 「今から出てくるか?」 「ごめん、眠い」 まあ、今日はこちらも少し控えた方がいいだろうと思っていたので、新刊書をいくつか買っただけで帰宅する。
とりあえず、首をあまり動かさなきゃ、パソコン使ってもオッケー、ということなので、あちこちのサイトを覗く。 東映アニメーションが、昨年5月に倉庫から盗まれた『美少女戦士セーラームーン』のセル画が「まんだらけ」で売られていたとして、セル画の返却を求めて提訴したとのニュース。 「さくら出版」の事件と直接の関係はないが、これで「まんだらけ」の買い取り方が入手ルートを確認しようともしない杜撰かつ確信犯的な行為だということがより判明した格好である。 福岡の「まんだらけ」でも結構珍しいものが売ってたりしてるけれど、ああいうのも横流し品じゃないかって疑惑が生まれてくるなあ。
エロの冒険者さんが、山本弘さんのSF秘密基地の掲示板に、「『変身忍者嵐』は福岡では放送されていなかった」と書きこまれたところ、途端にほかの九州出身の方から、「放送されてましたよ、ウラが『ウルトラマンA』でしたから、御覧になってなかったのでは」と指摘され、「うわあ、30年間、ずっとされてないと思いこんでいた!」とパニックに陥られていた。 えーっと、エロさん、その会話、以前に酒の席で私ともしましたよ(^_^;)。 カラオケで私が『変身忍者嵐』の主題歌を歌った時に、「福岡では放送されなかったんですよねえ」と仰ったので、「え? されてましたよ?」と言ったら、「されてたんですかあ! うわあ、30年間、ずっとされてないと思いこんでいた!」と、身悶えなさっていたのである。どうやら酔っ払ってキレイサッパリ忘れておられていたらしい。だからあまり深酒はするものではないのだな(^o^)。 この分では、この会話、エロさん今までに十回くらいはしてるかもしれない。多分、あと三回くらいはされるであろう(^o^)。 本放送時は、私もどちらかというと『A』派であったので、『嵐』のほうはたまにしか見ていなかった。時代劇としては雑な出来であったし、特に林寛子のファンでもなかったから、これは仕方のないことであろう。主題歌だけは『嵐』のほうが好きだったので、まずはオープニングだけ見て、本編は『A』を見る。そして、予告編は『嵐』を見て、ストーリーの流れを抑え、物語に急展開がありそうだったら(月ノ輪が死ぬとか、悪魔道人が出てくるとか)、たまにそちらを見る、という涙ぐましい努力をしていたのである。ビデオが各家庭に何台もある若い人たちがうらやましいよ。 似たような感じで、『ミラーマン』と『シルバー仮面』は、主に『ミラーマン』を見ていた。 困っちゃったのは『アルプスの少女ハイジ』と『宇宙戦艦ヤマト』と『侍ジャイアンツ』が重なってた時で(関東では『猿の軍団』も重なってたそうだが、これは福岡では別時間帯だったので見られた。つまんなかったけど)、結局、『侍』、『ハイジ』、『ヤマト』の順番で見ていた。 梶原一騎が大っ嫌いだった私が、どうして『侍』を最優先にしたかっていうと、もちろん作画監督が大塚康生さんだったからである。11歳でもう作画監督でアニメを選んでたんだから、全く、ナマイキなガキではあった。 『侍』を見ている間は、ちょうど『ハイジ』はフランクフルト編である。そこがすぽーんと抜けてると、ハイジが山を降りたと思ったら、すぐ戻って来ちゃうじゃないの、と言われそうだが、そのときは既に原作小説を読んでいたので、話の骨子は知っていたのである。 ほとんど見向きだにしなかったのは『ヤマト』で、実は完全に見ていたのは第1回と最終回だけなのである。SFファンだったら、真っ先に見るべきなのは当然『ヤマト』じゃないのか、と言われそうだが、私はアニメは作画レベルで見ていたので、明らかに虫プロ系列、技術レベルの低い『ヤマト』は第1回であっさり見捨ててしまったのである。 オタクブームを最初に作ったのが『ヤマト』ファン、という意見に異議を唱えるつもりはないが、東映動画系列のアニメがオタクの興味の対象外にあったようなモノイイに対しては、そこまで断定してほしくはない、という思いがしているのである。 いや、もちろん、後に再放送で『ハイジ』も『ヤマト』も完全にカバーしましたけどね。『ヤマト』の劇場版もほとんど見に行きましたし(『永遠に』と『完結編』はビデオで済ました)。でも「若気の至り」と思うほどにはハマらなかったってことです(とか言いながら『さらヤマ』で泣いた口。アンノさんに嘲われるタイプである)。
夜、心配しているらしいグータロウくんに電話。 務めて明るくふるまったが、実は心の中では悲しみに沈んでいたのだよ。……なんて、うっそぴょーん(イタイなあ)。 今日買って読んだばかりの『月刊ガンダムエース』8月号の話をしながら、「やっぱ、男だったらシャアよりランバ・ラルのほうがいいよな!」と力説する。「おれはドレンだよ」「だったらクランプも」「おまえはミハルだけいりゃいいんだろ」「あれでカイも男を上げたしな。反面リュウは目立ってない」「死ぬとこだけかな」などと他愛ない話、しきり。 グータロウ君は「読むとこなくなったんでもう買ってない」と言っていたが、「今号はトニーたけざきの『ガンダム漫画』はカラーだぞ! それから開田裕治さんのカラーイラストストーリーはガンダム漫画なのに怪獣ものなんだ!」とムリヤリ奨める。確かに『オリジン』以外のマンガがもう少し面白くなってくれたらいいんだけどね。 グータロウ君の息子さんは、日々着実にオタク道を歩いて行ってるようである。偶然にも、息子さんの学校の、担任の先生がまた、ウルトラマンなんかのファンだそうで、随分話が合うらしい。 先生が「『ウルトラQ』の中では、おれはケムール人が好きだな」とか言うと、息子さん、「ボクはパゴスです!」と答えたとか。パゴスとは渋い。ここで「実はあのキグルミはバラゴンを改造したものでね、更に、ネロンガ、ガボラと改造を続けられて……」とか、他人が聞いたら鼻白むようなウンチクを言い出すようになればもう、一人前であろう(^o^)。 ……ホントにそんなオトナに子供を育てたいのかな、グータロウくん。 知ーらないっと♪
鯨統一郎『とんち探偵一休さん 謎解き道中』(祥伝社/ノン・ノベル・840円)。 なんとサイン本である。クジラマークがやたら可愛い(^o^)。 気がつかないうちに福岡でサイン会してたんだな、鯨さん。どんなお顔か、拝見してみたかった。ペンネームからの勝手なイメージ、和田慎二なんだけど、シツレイかな(^_^;)。 本作は『金閣寺に密室』に続く『一休さん』シリーズ第2弾。相変わらずタイトルセンスは無いに等しいけれど、ミステリ短編集としては高水準。長編だった前作よりも楽しめた。 前作のラストで、茜の両親を探す旅に出た一休、蜷川新右衛門だが、道中、八つの事件に遭遇する。この道中ものという設定、八つという事件の数から、発想をモーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンもの『八点鐘』から取っていることは明らかだが(『水戸黄門』はミステリじゃないしな)、もちろんこれはトリックを模倣しているわけではないから問題はない。一休さんの八つのとんちばなしと、事件とを絡めるやり方はいささか強引だが、これもクイーンの「Q.E.D.」や麻宮サキの「テメエラゆるさねえ!」と同じ定番だと思えば(例えが不適切か)、まあ腹が立つほどではない。 何より、それほどムリをしたトリックがないのである。それはやや他愛ないという印象を与えはするものの、少なくとも「これはおかしすぎる」と反発したくなるような結果にはなっていない。いや、多少はちょっとムリがあるな、とは思うが、語り口が上手いので、そんなに気にならないのである。基本的に鯨さんの小説も、チェスタートン式、泡坂妻夫式の「現実にはちょっとムリっぽい」けど、小説のトリックとしては有効、という範疇のものなので、例えば第四話『尾張・鬼の棲家』の家屋消失トリックなどは、ちゃんと伏線を張っているのだから、笑って認めればよいのである。 一休さん一行が旅するのは難波・大和・伊勢・尾張・駿河・伊豆・相模・武蔵の八国。残念ながら九州には来てくれなかったけれど、駿河のお茶や伊豆の蛤、相模の焼き団子などに舌鼓を打つ一休さんの姿は可愛らしい。でもタイトルが『一休さん東海道グルメツアー殺人事件』にならなくてホントによかった(^_^;)。 こういう連作短編のほうが、鯨さんは本領を発揮していると思うな。最後に謎を一つ残したまま終わりってことは、第3弾もあり……?
2002年06月28日(金) 犬も歩けば/『仮面ライダーSPIRITS 受け継がれる魂』(村枝賢一監修)/DVD『続・黄金の七人 レインボー作戦』吹替版ほか 2001年06月28日(木) 事故&カラオケ地獄変/『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 始動編』Ⅰ&Ⅱ(安彦良和)
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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